120回鬼面山西山麓ブナ自然林観察会12.02.12()

 

 

 

 

 

ヤマウルシ種子 

センシゴケ
地衣体にみられる穿孔が最大の特徴 

 ブナ林散策

ブナ自然林を登る 

横向(鬼面山西山麓)ブナ林観察会 佐藤 清子

  2月12日は、今年初めての観察会です。2月も半ば過ぎというのに朝から吹雪という悪天侯の中、「こんな天気でも観察会はあるのだろうか?」と半信半疑で集合場所に行きました。しかし、すでに集まっていた皆さんは余裕の笑顔で迎えてくれ、そんなことを心配していたのは私だけのようでした。ありのままの自然を観察するということでしょうか。

案の状、横向きスキー場に着いた頃には、おだやかな冬景色に変わっていました。最近ではどこのスキー場も人が少ないですが、横向温泉の宿泊客と思われる車が2、3台止まっているだけのここの静けさは別格です。一つ尾根を隔てた箕輪スキー場の賑わいとは対照的でした。

各々、スノーシューや山スキーを履き、守さんを先頭にブナ林とサワラの自生地を目指して歩き始めました。スキー場の新雪の上を歩くのも気持ちがいいのですが、そこからちょっと森の中に足を踏み入れると、伐採後の二次林とはいえ静かな森の空気に触れることができ、心が癒されます。オオカメノキの冬芽は可愛いらしく両手を挙げて歓迎してくれ、シルバーやゴールドのビーズを束ねたようなヤマウルシの実は雪をまとってずっしりと垂れています。ノリウツギは装飾花のまま薄黄色のドライフラワーとなり、枯れていながらも美しく、わび・さびの世界を感じる冬ならではの味わいです。
ウリハダカエデ、クロモジの冬芽などを観察しながら、なだらかな斜面をゆっくり登る頃には、雲の合間からうっすらと青空ものぞき、土湯峠が銀色に光っていて美しく、冬の天気はあてにならないものだということを思い知らされました。

冬の森は一面どこまでも真っ白、すっかり葉っぱを落したモノトーンのブナの木にはヤドリギや熊棚を見ることができました。昨年はブナも豊作だったようでブナの実がいっぱいついたままの木が沢山あるのに、あんなに高い枝までよじ登って、ブナの実をむさぼっている熊の姿を思うと気の弱いクマのプーさんみたいで親しみを感じます。

林の中にカンバのような横縞模様で美しい木肌の細い木を見つけて、「これは若いミズナラの木です」という守さんの説明には驚きました。私の知っているミズナラは、分厚くひびせんべいのような木肌で、どっしりとそびえて存在感のある大きな木です。そして、見慣れたブナの幹にも新たな発見がありました。あの独特な木肌の模様は地衣類といい、白っぽい苔と緑を帯びた藻類がまだらに繁殖しながら共存しているのだそうです。人も木も年を重ねると面の皮が厚くなり、肌にも深いしわやまだらのシミが現われたりして、よりその人らしさがにじみ出てくるように感じられ、ガッテン!
 
高森川の沢沿いのコースは登るにつれ格好のいいブナの林となります。ここから少し傾斜のある斜面を10分くらい登ると、お目当ての大きなサワラの木がありました。これまでサワラの木の名前はあまり聞いたことがありませんでしたので、これがサワラの木ですと言われてもヒノキのようにも見え区別がつきません。葉っぱの裏側の模様が白い蝶の形が見分けのポイントらしいのですが、ルーペでみても私には見分けられませんでした。どこかの山でサワラに出会っても気づけるかどうか、残念ながら全く自信がありません。魚のサワラならわかりますが・・、ごめんなさい。

サワラの木を観察した後は、一気に下り風の通り道を避けたブナの林の中に、恒例の雪のテーブルをつくり、肩を寄せ合ってお昼をひろげましたが、温度計を見ると気温はマイナス12度です。寒さに震えながらもくもくと食べた後は、あっという間にスキー場に戻りました。
 
厳冬の観察会は、空気が凛として気持ちがいいものです。今日の観察会では、珍しくアニマルトラックをあまり見つけられませんでしたが、自然界では動物も植物も淡々と共存していて、全てが循環しています。人もかつては自然と調和した生活を営んでいた時代があったはず・・・。昨年はこの福島の地で自然界には存在しない放射能が大量にばら撒かれるという大惨事が起きてしまいました。受け入れがたい現実ではありますが、今一度、自然をつぶさに見ることから始めて、循環できる生活様式に戻すことを我々に気づかせるための“神の計らい”と思えてなりません。

あらためて自然観察会の意義を感じさせられました。

 

 

 

 

 

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