森の素敵な仲間たち 野鳥シリーズ VOL.6 高橋 淳一

暖冬にすっかり慣れてしまい、積雪の無い師走が当然のようになりつつあるが、薄っすらと雪化粧をした吾妻の山並は例年のような冬の佇まいを見せるようになった。 

山麓では木々がすでに葉を落し、厳しい寒さを耐え抜く準備は万全のようであるが、本格的な雪はいつになるだろうか。ツキノワグマ等にとっても積雪は冬ごもりに入るきっかけとなるが、冬を生き抜くその他の動物達にとっては辛い季節の到来でもある。 一方、視線を遮り、行動を制限する植物の葉が落ち、雪に覆われる森は、小鳥や小動物を観察するには絶好のフィールドとなる。

ゴジュウカラ(五十雀) スズメ目 ゴジュウカラ科 留鳥

 数日来の雪が止み、朝陽を受けてキラキラ輝く雪面にスキーを滑らせながら、カラマツ林に歩み入ったある日、この鳥と初めて出会った。体長はスズメ大で、頭から尾羽にかけては青灰色、腹部は白く、尾羽の極端に短い鳥が直径数十センチほどのカラマツの幹を伝わるように動き廻り、盛んに幹をつついていた。特に頭を下にして下りてくる様子は実に器用であり、よほど強固な足と爪を持っているのだろうと感心して見ていた。また、警戒心が弱いのか近くでじっと見ていても気にする様子はなかった。
 それ以来、何度となくこの鳥に出合ってきたが、名前の似るシジュウカラ(四十雀)のように群れで行動しているのを見かけたことが無かった。しかし、数年前、初冬のブナ林に数羽の姿を見つけた時には、「ピヨッ、ピヨッ」という地鳴きとともに活発に動き廻る様子はとても楽しげであった。

マヒワ(真鶸) スズメ目 アトリ科 冬鳥

  晩秋のブナ林を歩いていると、上空を「ジューイン、ジューイン」と鳴きながら、飛びまわる群れに出会うことが度々ある。ときより枝先に止まっては「ジュク、ジュク、ジュク」と賑やかに鳴き交わしているので比較的容易に姿を見つけることができるものの、鳴声同様、落ち着きがなく直ぐに飛び立ってしまうことが多い。大きさは体長13cm弱と人里や河原で普通に見られるカワラヒワより一回り小さいが、雄の羽毛の色は黄色が濃く美しい。
 
また、頭と頬が黒いのも特徴の一つである。越冬のために北国より渡って来るこの鳥も積雪が多くなる、2、3月には、人里近くの杉林で賑やかに囀っている。よく観察すると杉の実を食べていることもあるので、花粉症の方にとっては益鳥と言えるだろうか。また人に良く慣れるということで、昔は多くの人に飼われていた。私自身も幼少の頃、父親に買ってもらい、手に乗って餌を食べるほどまでに飼育したが、所詮は「籠の鳥」、ふとした隙に自由をもとめて飛び去っていってしまった。
        (原図 小学館・野鳥図鑑)


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