森の素敵な仲間たち 野鳥シリーズ VOL.1 高橋 淳一

森には、樹木、草本などの植物のほかに、多くの動物たちが生活している。微生物を初め、昆虫、野鳥哺乳類と、それらは一つとして不要なものはなく、森という社会の中で様々な関わりを持ちながら生き続けている。
 そんな森の生き物の中でも、野鳥たちは、私たちに愛くるしい容姿と美しい声を披露してくれる森のアイドルとも言える存在である。
 そんな素敵な野鳥たちのプロフィールを季節感を交え連載していきます。

モズ(百舌)    スズメ目 モズ科

遠い吾妻の山並みが色付き始めた頃、稲刈りを終えた田んぼの杭のテッペンや、道端の柿木の梢で尾羽を上下させながら、せわしなく「カタ、カタ、カタ、カタ」と賑やかに鳴く、スズメより一回りほど大きい鳥が目につくようになった。
 頭には茶色の帽子をかぶり、目元には黒く太い線がある。そして、くちばしはタカのようにカギ型をしており、カエルや昆虫を主な餌としている。時には他の小鳥を襲うことさえあるという。葉を落とした木々の枝先や有刺鉄線にカエルやイナゴが刺さっている光景を目にすることがあるが、これは「はやにえ」と呼ばれる独自の習性である。また「百舌」と漢字で書き表すように、鳴きまねが得意でメジロ、ヒバリ、ホオジロ、ウグイスなどのをまねをする。
 私がこの鳥の名前を知ったのは、子供の頃自宅のそばに耕作を放棄し荒地となった桑畑の藪の中、ノイバラや笹に覆われた桑の木に巣を作り、雛を育てているのを偶然見つけた時であった。そのときの感動が忘れられず夏になると、毎年のように藪の中を探し歩いたが二度と見つけることはなかった。
 

(イラスト せたがやトラスト協会)

ジョウビタキ(上鶲) スズメ目 ヒタキ科 ツグミ亜科

秋も深まり、周囲の山々より初雪の便りが届くころ、人家近くの木々の枝先に小刻みに尾羽を振るわせながらヒッ、ヒッと、か細い鳴き声のスズメくらいの小鳥が見られるようになる。
 別名、紋付鳥とも呼ばれ黒い翼にある白斑は雌にもあり特徴的である。また喉から腹、尾羽にかけて橙色の羽毛に覆われているため、葉の落ちた雑木林でも比較的よく目立つ。、実を着ける樹木があれば、庭先に現れることも多く、敏捷な動きをするにもかかわらず、人なつこい一面も見せてくれる。
 一般的にヒタキといえばこの鳥で、鳴き声が火打石をたたく音に似るからなどいくつかの説が言われている。
 北国から越冬のためやって来るこの鳥も、カモや白鳥のように、人里に雪や木枯らしを運ぶ冬の使者である。

(イラスト 瀬川 強)

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