第24回東北自然保護の集い福島大会

大会宣言

 

バブル崩壊に伴う景気の低迷により、東北地方の豊かな自然を蝕む大規模開発は、一時的にせよ危機的状況を回避することができました。そして、多くの人々によって自然の修復も行なわれるようになりました。

しかし、その一方では、大規模事業の構想が着実に進められており、監視の目を緩めることは出来ません。また、自然志向の高まりによる人と自然との関わりかたにも変化がみられるようになりました。オーバーユースによる登山道の荒廃や高山地域へのペットの持込等、皆が自己中心的になっていると思われるような行為が多く見られるようになりました。このことは、自然に接することに限らず、日常生活にも現れています。ゴミ処理、産業廃棄物に代表される問題はまさに、豊かさを追求するなかでの「負の遺産」であり、これについては処分問題だけに特定せず、消費生活そのものを見直すなど私達一人一人が真剣に取組まなければなりません。

そしてこれらの多くの問題は「人が自然とどう関わるか」という原点を見つめなければ解決できない問題であり、国民的課題として努力をしなければなりません。

 

私達は福島県二本松市に集い、これらの問題を真剣に議論しました。そして自然破壊に明け暮れた20世紀に対し、真に豊かな自然に抱かれ、安心して生活できる21世紀の東北地方を実現するために次の宣言を行ないます。

 

1.大規模林道および博士山広域基幹林道などは林業振興というよりは自然破壊を伴う無駄な公共事業である。直ちに中止すべきである。その費用は林家の林道や作業道の密度を上げる事業に使うべきである。

 

2.世界遺産の白神産地に匹敵する南会津及び越後地方のブナ林を始めとする東北各地の多様な生態系を有する森林については、生態系を保全する上で実効性のある法的な保護対策を早急に講じること。

 

3.森林再生と湿原植生回復を図るための体系的な制度を整備すること。また自然の修復にあたっては風土性、多様性、変異性を考慮した復元の3原則を規範とすること。

 

4.環境保全を指向する自治体やボランティア団体に対しては、資金、技術、税制の多方面にわたる支援策を策定すること。特に手入れの行き届かなくなり荒廃した里山の回復のための支援策を最優先すること。

 

5.東北の豊かな森はゴミ捨場ではない!各地で問題になっている産業廃棄物処理場、不法投棄については関係機関が一体となって解決に当たるとともに、リサイクルの推進を含め関係法令の強化を進め、ゴミの発生源からの対策を講じ、積極的に減量化を図ること。

 

6.人は自然に抱かれてこそ存在できることを教育の場を含め、広く啓蒙していかなければならない。オーバーユースによる登山道の荒廃や高山地域へのペットの持込等、皆が自己中心的になっていると思われるような行為が多く見られる。それらに対し、私達自らが率先して行動していきましょう。

 

2003年11月23日

第24回東北自然保護の集い 福島大会