「会津山地森林生態系保護地域」、「緑の回廊」設定委員会報告   高橋 淳一

会津地域の国有林について、「森林生態系保護地域」並び「緑の回廊」を設定する委員会が設置され、当会からも高橋が委員委嘱を受け、去る2月24日には第1回の委員会が開催されましたことは、前56号会報で報告いたしましたが、第2回の委員会が5月31日、6月1日の2日間に亘って只見町で開催されましたので報告いたします。

 初日は一部委員を除き、郡山駅から、事務局の準備したマイクロバスにて只見町に向いました。途中、休憩、昼食を取り、現地集合場所である田子倉ダムサイトに到着したのは午後1時30分近くになっていました。そこには、地元只見町金山町昭和村の町村長と関東森林管理局の関係者が既に到着しており、早速合流し、2日間のスケジュール説明後、現地検討に入りました。最初はダムサイトから、次に六十里越峠付近に移動し、生態系保護予定地域の遠望を行い、当局関係者からは、岩陵地帯であり、土壌が未発達である。ブナ等の高木が見られる場所は窪地や緩傾斜地など特異な場所に限定されるが全体としては貴重な生態系である旨説明がありました。その後、八十里越トンネル工事の進む浅草岳山麓の入叶津地区に移動、道路脇のブナ林2箇所を視察しました。今年は残雪が多く、樹高が30mを越える新緑のブナと林床には咲き始めたユキツバキの真紅の花とのコントラストがすばらしく、吾妻山では見られないもので、最近まで一般に注目されなかったのが不思議に思えました。また、旧八十里越道路(現在は廃道)も視察、只見町長からは新道が開通すると燕三条市まで1時間程度で結ばれ、経済効果以上に町民の健康福祉面での状況改善になるなど地域の窮状を聞くことができました。なお、現地視察は午後3時半過ぎには終了し、4時過ぎには宿舎に入りました。

2日目、午前9時30分から町中心部の只見町地区センターに場所を移し、第2回設定委員会が開かれました。主催者挨拶に続き、出席者の自己紹介後、当局から、第一回設定委員会の議事録並びその後の提案、意見等の報告、そして修正案の提示の順に議事進行を行い12時には閉会となりました。この中で、提示された修正案には当会から要望した「吾妻山森林生態系保護地域」の拡張要望が全て認められ、新たに中吾妻地区、二十日平地区のブナ林(115ha)が生態系地域に編入されることになるほか、「仮称:会津山地森林生態系保護地域」では保存地区(コアゾーン)への1775haの追加することが提案され了承されました。しかし、「飯豊山森林生態系保護地域」拡張要望については進展が無く、再度の拡張要望を行い、再検討することの回答が得られました。また、緑の回廊の設定方針と維持・整備方針においては、生態系保護の姿勢をより明確にするとともに天然林を原則的に禁伐とすることが表明されました。しかし、自治体代表の一部委員からは地元の木工産業に配慮してほしいとの意見が出されるなど、最終的決定には自治体の理解を得ることがポイントになるようです。当会としては、飯豊山周辺の拡張を今後の最大のテーマとして現地調査等も積極的に実施し、当局側に働きかけてまいりたいと思います。

 

2006年カタクリの会奥羽自然観察会計画(7月〜12月)

月 日

回数

自然観察会のテーマ

集合地

7月16日(日)

187

ブナの森の滝巡り

下前風景林

西和賀町役場

8月20日(日)

188

和賀川を歩こう

和賀川

沢内分庁舎

9月10日(日)

189

秀衡黄金街道の道歩き

鷲之巣周辺

西和賀町役場

10月22日(日)

190

落ち葉とキノコ

未来の森  

西和賀町役場

11月3日(日)

191

冬の渡り鳥

錦秋湖

西和賀町役場

12月3日(日)

192

初冬の森を歩こう

西和賀地内

西和賀町役場

* 会則、会費はなく誰でも自由に参加できますが、各観察会の一ケ月前から電話でのみ受付です。

カタクリの会連絡先:郵便番号029-5512和賀郡西和賀川尻41-72-15

電話&FAX0197(82)3601代表:瀬川強