西吾妻山観察会 2001.6.17(日)

 西吾妻観察会              村松恵美子    

 6月17日(日)、西吾妻山の自然観察会に参加しました。冬の間、雪で傷められたロープ補修等が目的です。ゴンドラ、リフトと乗り継ぐと、季節は初夏から春へそして生まれたばかりの春へと、時計が逆回りをして行きます。雪の残る登山道を進み、梵天岩で休憩です。湿原を見渡すと、素晴らしい景色の中に裸地化した部分が傷跡のように痛々しく広がっています。30年前の写真には、草原と池塘だけの世界が写っているとか。

 西吾妻小屋の前で、西大嶺方面のロープ補修をする5名の健脚者達とは別れ、ここで昼食後、作業開始です。鉄製のロープの支柱は、雪の重みでぐにゃりと曲がっていたりします。雪と風が支配する冬山の原始の力、といったようなものを感じました。人の持ち込んだ物は、また人の手によって補修が必要なのに、笹など植物達はなんとしなやかに復活するものだと、つくづく思いました。「御苦労さまぁ。」「お陰で気持ち良く歩けます。」登山者が声を掛けながら通り過ぎて行きます。

 西吾妻小屋前と、若女平分岐辺りの補修を済ませ「きれいになったねぇ。」と称えあいました。湿原の泥炭層は1年で1ミリしか発達しないと、前の観察会で教えられたことがありました。膨大な時間をかけて形成された湿原。その歴史を、登山靴で踏みつけにすることだけは避けたいものです。

 作業の御褒美か、これ以上無いという青空の下、最終ゴンドラに乗り遅れないよう下山を急ぎました。

コメバツガザクラ

クロウスゴ

*** 観察会とロープ補修 ***        鈴木勝美

 今回の観察会は天元台のリフトを利用しました、朝一番のロープウェイの時間より早く着きましたが登山者や山菜取り等で既に行列が出来ていました。ここで前泊の方が合流し15名の参加者となりました。

 ロープウェイとリフト三つを乗り継ぎ、その終点から登りとなります、登山道のロープ補修がメインということで早めに歩くとの話でしたが、まだ残雪の残るなかバイカオウレンや様々な花も咲き始めていつもの観察会のペースになりがちです。

 大凹付近の道では1m以上の幅で角張った砕石が敷かれている場所があり公園と同じ感覚で造っているように感じました、さらに天狗岩の先では、ご丁寧に排水溝のように砕石を敷いた所があり湿地も乾燥してしまうのではと心配になってしまいます。

 梵天岩や天狗岩では岩に隠れるようにわずかに残ったコメバツガザクラやチングルマ、イワカガミなどが見られました、 リフト終点から約2時間で西吾妻小屋に到着です、ここで小屋周辺と先の水場のグループに分かれました。

 私を含め5名は先に進み一段下がったところからロープの補修にかかりました、土が掘られた跡は支柱を刺そうとしてもすぐ下に岩があるためなかなか刺しづらいものでした、湿地の堆積層はやわらかく積み重なっただけであり、人に踏まれたりしたあとは簡単に流されてしまう危うい物であることを実感します。

 所々に咲く清楚な感じのヒナザクラを観察し一息つきながら補修を続けました。反面ヒナザクラが咲く横を、揃いの帽子をかぶったグループが足早に通り過ぎてゆく様子に寂しいものも感じてしまいます。

 西大巓手前の水場に到着すると、谷側は昨年補修されたロープがしっかりと残っていて良かったのですが尾根側はロープが無かったため植物の上に道が段々に出来掛かっていました、これ以上広がらないよう願いながら新たにロープを張って来ました。 帰りは、時間が遅くなったため人の波が消え、梵天岩からは吾妻の山並みを静かに眺めることが出来て心が洗われるようでした。

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