高山の雪上観察会 2001.4.22(日)

 スカイラインが開通したばかりの、4月22日(日)に鳥子平から高山を訪ねました。この時期の高山は2年ぶりです。参加者は前回に続き岩手県平泉町から参加いただいた方も含め、総勢11名でした。常連さんの中に比較的新しい会員の方の参加が必ずあるのがこの会の観察会の特徴です。また雪上の野外行動は未経験であった会員でも1年も経つと何の気負いもなく参加して頂いています。スノーシュー、山スキー、長靴と思い思いの足回りで高山の針葉樹林帯に入りました。雪上とはいえ、前回の観察会とはうって変わって、雪は十分に固まっているのでつぼ足でも登るのに不自由はしません。
 天候に恵まれ、針葉樹林が切れた隙間からは、東吾妻や景場平が手にとるように望めました。オオシラビソやコメツガの樹高が低くなり旗状のウインドフォームも目立つようになると、程なく山頂に到着しました。頂上では吾妻小富士が見える東端の尾根まで移動し、吾妻小富士から福島市までの展望を楽しみました。樹林帯の窪地で昼食をとってから、下山し北限のシラビソを観察しました。

                         高山の雪上観察会  山内幹夫
 前日の天気予報がうれしくも外れて、前回に続き晴天の観察会となりました。四季の里に集合したメンバーは11名。意気軒昂と、一昨日再開通したばかりの磐梯吾妻スカイライン経由で鳥子平登山口に到着しました。雪の回廊の東側にはオオシラビソやコメツガなどの黒木が雪原に映え、その向こうに高山が聳えています。湿原はまだ厚く雪に覆われていますが、しまりが良く、ラッセルなしで軽快に歩けます。
 黒木と久々の再会を楽しみながら、ウサギが木の芽を食べた跡、風雪により裂けた樹幹、ミネカエデやサラサドウダンなどを観察してゆくと、西手に東吾妻山から一切経山にかけての雄大な眺めが広がりました。どこまでも青い空に言葉もありません。一息入れた後、最後の急斜面をトラバースして登り切ると高山の頂上です。電波反射板のそばは気が滅入るため、北側の標高1804m地点まで移動しました。この時期だから踏み込める場所です。西の卓越風による旗形樹形のオオシラビソ林を抜けると吾妻小富士・ラクダ山・一切経山方面が一望できます。

 記念撮影の後、楽しみの昼食です。東手に延びる山麓にブナの純林を眺め、遙か福島盆地に向けて携帯電話による山頂記念通話を試みる会員、絶壁斜面の滑降に興じる会員、この時間がいつまでもと願いつつも、下山となり、鳥子平近くに下りてきて、シラビソの観察を行いました。高山に見られる北限のコロニーは何故あるのか? 種の飛来説や氷河時代からの遺存説などが飛び出しましたが、氷河時代の福島県内には、浜通り地方にもシラビソが存在していたことが花粉や化石などから確認されており、その時代からの生き残り樹木だとすれば夢があるなあと感じます。鳥子平からクロベの林を抜けて車道に着き、観察会を終えました。晴天に恵まれた一日を振り返るにつけ高山が永遠にと願わずにはいられませんでした。

 

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