蟹ヶ沢周辺観察会 2000.11.26(日)



尾根上のブナの曲線美



谷沿いのブナの直線美



尾根上の複雑系ブナ

  11月26日に総会に先立ち蟹が沢周辺の森を訪ねました。当会の観察会としては初めての山域でした。この地域は昨年大規模な地滑りが発生し、話題となったところです。
 最初に新たに建設された砂防ダムのある蟹ヶ沢源頭部周縁の森を観察しました。林道から沢に至る道は、工事のため最近、切り開かれたと思われますが、既に大きな亀裂が走っています。路上は一面ブナの実で被われ今年は豊作であったことが良く分かります。この付近のブナはすらっとした樹形のものが多く、中には100年を越えるものも見られました。またヒノキアスナロがかなりの頻度で植生しており、福島市の森林植生としては大変貴重な地域です。
 工事道を新たに建設するのか、沢に沿ってこのわずかに残された100年もののブナが切り倒されていました。一帯は湿原が広がっています。この工事発注者はどの程度、森林生態系の維持に注意を払っているいるのか心配になりました。
 位置的に前回観察会の高倉山の反対側に当たり、蟹ヶ沢を挟んで地すべり地帯と板谷鉱山跡地(現在は産業廃棄物処分場)の凄惨な光景が目の当たりに広がっていましたが、足元の伐採されたばかりのブナの残骸も痛々しく感じられました。 
 沢を観察した後、右岸尾根の山道を辿り、カラマツ植林地の植林残地から、一切経、家形山、青木山の展望とその裾野の森林景観を楽しんでから帰路に着きました。この尾根に僅かに残されたブナは沢沿いのブナとは対照的に芸術的な樹形をしていました。

戻る トップページへ   戻る 観察会のページへ