西大巓清掃登山 2000.8.27(日)

 8月27日に西大巓清掃登山を行いました。当初は天元台から梵天岩を中心とする清掃登山を予定していましたが、この時期の西吾妻山は集団登山が多いことから、登山道への負荷を考慮し、登山者が比較的少ないデコ平から西大巓へのコースに変更しました。しかし、これもあまり、意味のない配慮であったことを当日、思い知らされる事となってしまいました。
 まず、ゴンドラ終点駅で、独立樹化したブナの木とその周辺の植生環境の変化について観察をして、出発しました。スキー場と平行する登山道に入ると間もなく、岩を抱いたシナノキの大木が現れ、周辺はブナの中木やツリバナが取り囲み、スキー場が切られる前のブナ林の面影を忍ばせています。しかし、視界からはスキー場が針葉樹林帯に入っても暫くは消えることはありませんでした。オオシラビソの株元にアリドオシランの花を見る辺りからようやく、手つかずの針葉樹林帯となり、登山道も岩肌が剥き出しの険しい様相を見せます。
 下山者から福島交通のツアー登山で120名以上の集団がこのコースを登山中という思いがけない情報がもたらされました。偽ピーク手前でこの集団とすれ違った際に、この集団のサポータに清掃登山の趣旨を説明したのが効いたのか、登山中にチェックしておいた大きなゴミはあらかた下山時にはなくなっていました。3時間近くかけて辿り着いた頂上付近は、ミヤマコゴメグサ、ナンブタカネアザミ、タカネアオヤギソウ、ハクサンフウロ、ミヤマリンドウ等が往く夏を惜しむかのように咲き残る中、エゾオヤマリンドウ、ウメバチソウが咲き始めていました。西吾妻方面を望むと、一瞬、裸地化した登山道のシルエットと先ほどの集団登山の一行がオーバーラップしたように感じました。

西大巓清掃登山に参加して  天倉信雄

1. スキー場に残されたブナの木
 グランデコスキー場のゴンドラ山頂駅は、夏の草むらが生え茂り、スキー場の急斜面に点在して残されているブナの木々が目に入る。ところが、いずれのブナの木々も梢から枯れ枝が広がっているではないか、スキー場開発に当たり、景観保持のためか、自然環境を残す心情か、群生した広葉樹林を無視した開発を目前に、参加者の心の痛みを感じる。前回の観察会の報告で、村松さんがブナの樹林、凛々としたブナの大樹に歓声を上げた新緑と自然の雄大さに比較すると、環境破壊の現況をしっかりと確認できたことは、環境保全を目的にしている本会の学習が十分に達成したようなものでした。

2.幼稚園児君の頑張り
 西大巓1981mを目指す登山道は、行程約3500m、高低差590mは厳しい登りの連続であった。今回は、参加者の班編成はなく、子供3名(男子1名・女子2名)のグループ。途中、休憩時に男の子に小学校学年を尋ねると、幼稚園児だと告げられてビックリする。登山道は急峻な登りで大きな石が重なり大人でもかなり歩幅を広げても大変な道である.これを、園児君の目線では巨大な岩壁に挑戦ではないかと考える。しかし、この登山には子供の体力を十分に勘案した親心に、ライオンの子育てが思い出される。お陰で園児君のパワーを頂いての西大巓頂上で清々しい空気に接し、流れる汗が喜びに変じました。(園児君が父親のリュックの上でほほえんだ姿のシャッターチャンスを逸したことは残念でした。)

3.自然が育てる
 
登山道での小休止のとき、女の子が「人間はみんな自然から生まれたんだよね。」と話す周囲は緑一色である。私は心の中で「そうだね。」と答えた。それは、葉っぱのフレデイの話しを思い出したからであった。葉っぱのフレデイは、春に生まれいろいろな体験を重ね「命の旅」をしながら木枯らしの吹く寒い日に生まれ育った枝に別れを告げ、土に帰っていく物語でした。この話は、人の死を子供達に寂しいものではなく自然なものであることを教えているものです。多分この子もこの話を知っているんだと、緑の木々に一層の新鮮さを味わいました。
 
西大巓山頂に咲いていた青いリンドウ、白いウメバチソウの花々と園児君・2名の女の子そしてリーダーの方々、参加した皆さんと一緒に流した汗と、下り道のスベリに注意した足跡を残し思い出が一杯できたことに感謝します。

西大顛清掃登山と自然観察  八島和子
 西大巓に登るのも「高山の原生林を守る」会の自然観察会に参加するのも初めてだったので、集合前は少しどきどき。五色沼自然教室前から乗り合わせでグランデコスキー場へ向かい、ゴンドラを降りて歩き始めたのは10時。スキー場を抜けて登山道へ。しばらくはスキー場の脇を歩きました。林の中を歩くので濡れるのを覚悟していたけれど、8月中旬以降雨が少なかったせいか登山道は比較的乾いていて思ったより歩きやすかった。時期的に花の種類は余り多くなかったが、アリドオシランと黒い実のタケシマランが見つかったのが印象深かった。当日は清掃登山のためゴミを見つけると帰りに拾って帰ろうと登山道の間に出しながら歩きました。この日は福島交通で天元台からデコ平に抜ける西吾妻登山ツアーがあったのでどこですれ違うのかと思っていたら、西大顛山頂まで30分ほどのところで鉢合わせ。すれ違うのに時間がかかったので山頂についたのは先頭より30分以上遅れてしまいました。
 
山頂付近ではミヤマリンドウやウメバチソウなどがみられました。西大顛から西吾妻を見ると登山道が広がって裸地化しているのがわかります。このままでは裸地化がすすむ一方になるのではと不安になるほど。登山道の周辺の裸地化について考えさせられました。

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