子供が元気な雪の自然観察会に脱帽!! 佐藤 守 いつの頃からだったか、冬になるとカタクリの会の瀬川夫妻宅にお邪魔するのが毎年の恒例となった。初めは、奥田さんに誘われて、ついてきているだけだったのが、いつの間にか湯田の自然が好きになり、夏には家族旅行で訪れるほどになった。瀬川夫妻にも福島の森好き人間と認知されるに至ってはいるが、湯田に来るたびに瀬川夫妻の自然に対する造詣の深さにあきれかえって帰福している。 1月23日(日)、カタクリの会「峠山・雪の自然観察会」に参加した。今回も、いくつか印象に残ったことがあった。まず驚いたのは、真冬の観察会というのに子供の参加者が多いことだ。参加した子供たちが雪深さを気にも留めずに嬉々として歩き回っている姿に岩手の子供達の逞しさを感じた。陽子さんが、子供の目線に合わせるようにかがみこんで、森と動物の命の連鎖についてやさしく語りかけている情景は、雪の中にもかかわらずその場全体が温かい空気に包まれていた。 出だしの二次林では、ヤマハンノキとタニガワハンノキ(コバノヤマハンノキ)を観察することができた。私のホームグランドとする高山(たかやま)山麓ではケヤマハンノキが中心でタニガワハンノキとは今回が初めての出会いである。自分では理解していたつもりのハンノキ類の同定法も雌花の着き方については認識しておらず、その説明も新鮮で2重の喜びであった。ザックにしまっていたマクロレンズを取り出してヤマハンノキとタニガワハンノキをじっくりと撮影させてもらった。私としてはこれでもう十分この観察会に参加したお土産をいただいた気分であった。今回のコースは、フィールドサインも豊富で、キツネ、リス、ウサギの足跡や廃園となったクリ林のクマ棚、雪が転がってできる雪まくりなどを観察できた。これらの見分け方や種類などを、強さんが、お手製の紙芝居で子供たちに分かりやすく解説してくれた。食い入るように話を聞く子供達の姿が印象的であった。何気ない風景であるが、そう簡単に実現できるものではないことを、少なからず観察会を重ねている私はいつも思い知らされている。 帰福後、観察会の下見 に高山のブナ林 を訪れた。奥羽自然観察会の翌週であるだけにキツネ、リス、ウサギの足跡同定に迷うことはない。林道斜面にできためずらしく立派な雪まくりに岩手の情景が重なる。コース途中にあるケヤマハンノキの林では雄花と雌花の形態を改めて観察しなおし、タニガワハンノキとの違いを再認識し岩手行の余韻を楽しんだ。 子供は真剣に動物の足跡を考える |
|
|
|
紙芝居を真剣に聞くのは子供も大人も同じ |
|
|
1月22日(土)、早朝、予想以上の雪が降りしきるしのぶの里を後に奥田さんの新車で東北自動車道を北上する。今回の福島からの参加は鈴木勝美さんと3人である。路面は着雪しているため高速モードの速度は出せない。国見インターを過ぎたあたりから、雪が少なくなってきたが、1時間程度予定より時間をロスした。瀬川さんに電話をして待ち合わせ時間を調整する。 今回登る山は、羽山(599.9m)である。陽子さんの提案らしい。岩手日報社から出版されているガイド本によると羽山は里の端にある山で「端山」が転じて羽山となったという。無人駅ながら地元の公民館が併設されたJR北上線岩沢駅で瀬川夫妻、秋田県横手市の佐藤護氏と合流する。 |
|
||
登山口には立派な鳥居が建っている。羽山の頂上には羽山神社が祀られているので、夏の登山道は参道とも解釈できる。右手の急斜面を登り尾根に出る。しばらくはアカマツの植林地のやせ尾根を辿る。小ピークに出て鞍部から左斜面を巻いて尾根にとりつくとミズナラの若木が中心の広葉樹林となる。植林のため伐採されたが、そのまま放置されたために再生した2次林らしい。はじめは平坦な斜面も広葉樹の植生密度が高くなるとともにきつくなるが、それも1登足でなだらかな尾根に飛び出し1息。視界が広がり岩沢地区の集落を俯瞰する。ここからは、登るほどにブナが多くなり、比較的大きいブナが散見される。 右手に箒状に幹を分けたブナの壮木をやり過ごすと、雪に覆われた祠がある頂上にたどり着いた。頂上の南斜面は見事なブナ林。林間を縫って降り注ぐ日差しを雪の林床が照り返し、ブナ林が明るくきらめいたが、それもつかの間で、またたく間に強風が吹きまくり、ツエルトを羽織っての昼食となった。 標高600m足らずの里山とは言え、見事なブナ林を頂上に抱えた和賀の山の自然の豊かさと厳しさを味わうことのできた山登りでした。 |
|||
|
|
|
|