187回奥羽自然観察会に参加して 2006.7.16 ブナの森の滝巡り― 

鎌田 和子

私にとってカタクリの会の自然観察会に参加することは、ほとんど夢だった。湯田というところにどうやって行くのかわからない遠い遠いところだった。しかし、ひょんなことから湯田に行く道筋がついたのだ 。沢を何度も渡りながらの滝みのコースだというので沢登りなどできないからと一度諦めた。しかし、遊歩道を歩くのだという情報を得て、安心して参加を決めた。
 長靴で山を歩くことにかなり抵抗があったけれど、このコースは長靴を履かなくては歩けない。流れが速くて深いところもある。しかも、何度も何度も川を渡るのだ。必死に歩いているうちに、長靴にも慣れてきた。滝の裏側に入ることもできた。
 珍しい花に出会えたのもうれしい。小さくてかわいい清楚な花にも惹かれる。ショウキラン、カキラン、コアニチドリなどは初めて見る花だ。ヒメヘビイチゴ、コナスビ、ダイコンソウ、ミゾホオズキなど、黄色の花が沢すじに明かりを燈すように咲いている。ウリノキの花にここでも会えた。アクシバはまだ蕾だった。ツルアリドオシの白く小さい花がペアで咲きながら、実が一個だけだという。その赤い実にはえくぼが二つできる。それを確かめることもできた。
 セロリの味がする葉、すっぱい味のカタバミ、ヒトツバヨモギはハーブの香りがする。猫の舌のようなオヒョウの葉。噛んだり、嘗めたり、嗅いだり。五感を使っての観察を充分に楽しませてもらった。
 川を渡り終え、きつい段差の岸を這うようにして上がる。そこで目にした白いふさふさした花。何?葉を見る。五裂した大きな葉だ。わからない!瀬川さんにオニシモツケだと教えてもらう。それからはずうっとオニシモツケ通りになった。斜面にもオニシモツケが群生している。その光景は実に見事だ。一株だけだったが、ミヤマカラマツが花も葉っぱも優しくやわらかに咲いていた。
 先頭が興奮している。ナニゴト?冬虫夏草だって!今までにない緊張した空気が漂っていた。見ると、それはオレンジ色のお箸の先がひょろっと突き出ているような感じのものだ。この下にはサナギがあるはずだと瀬川さんが説明している。写真を撮ってから、瀬川さんが根元をそっと掘ると、確かにサナギの抜け殻が付いていた。おうっ!と感嘆の声が上がる。それ以降、斜面をなめるように観察している方が目に入った。
 滝も素晴らしかった。姥滝では陽子さんが滝の裏側から手招きしている。その魅力に惹かれて私も入った。ここでは何でもできる。楽しかった。そして、夢がかなった喜びと珍しい花々に出会えた興奮を残しながら帰途についた。

サナギタケ

ショウキラン

どうぞお入りください

 

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