75回観察会・東吾妻・春の雪上観察会 2005.4.24(日)


75回自然観察会・東吾妻山・春の雪上観察会に参加して          小林 淳雄  

今回の観察会は、3年前から企画されながら、悪天候のため今年まで延期されていたとのことです。

したがって、今回参加できたことは誠に幸運でした。総勢14人で、それぞれスノーシューやスキーを履き、東吾妻山山頂を目指しました。最初の急斜面を登ると、傾斜の穏やかな地形にオオシラビソなどの針葉樹の森が広がっていました。所々に、灰白色の捻れた木肌を持つ巨大な枯木がモニュメントのように立っており、その姿を見上げると神聖な気持ちになり、心を打たれました。佐藤守さんから、オオシラビソ、キタゴヨウマツ、コメツガ、ナナカマド、ダケカンバ、アズマシャクナゲ、ガンコウランなどの説明を受けました。日頃、亜高山帯には殆ど行かない私にとって、それらの説明は新鮮でした。また、東吾妻山頂上からみた景観は、快晴に恵まれ素晴らしいの一言でした。

ところで、今回の観察会で特に印象に残ったことが、二つありました。一つは、東吾妻山山頂のハイマツ群落の荒廃ぶりです。ある程度予想をしていたものの、実際に見るとショックを受けました。そのような中でも、千切れてしまった裸地化防止用ロープを根気強く結びなおす会員の姿を見て、私も微力ながらお手伝いをさせて頂きました。二つめは、高橋淳一さんが、針葉樹(オオシラビソ?)の虫こぶを指摘されたことです。珍しいものと思われ、調べてみました。

今回見つかった虫こぶは、エゾマツシントメカサガタフシに似ていると思われました。寄生者はアブラムシの一種(エゾマツカサアブラムシ)で、その形状は、エゾマツ(北海道)やトウヒ(本州)の枝先に形成される球果状である。針葉が短縮・肥大してその基部間隙が虫えいとなる・・とのことでした。(文献1)このような虫こぶが、以前から東吾妻山の針葉樹に存在していたかは不明です。また福山は、地球温暖化と森林害虫との関係について、明らかな因果関係は不明としながらも、北海道の天然林の針葉樹(ハイマツやキタゴヨウマツ等)に、最近害虫の発生が増えていることを報告しています。さらにエゾマツカサアブラムシに代表される吸汁性害虫のアブラムシは、気温上昇によってその発生密度が増すとされています。(文献2)地球温暖化による亜高山帯の植生変化が、明らかになるまでには、かなりの時間がかかると思われますが、同地域の針葉樹等の虫こぶに注目することで、早期の地球温暖化兆候の新たな知見が得られるかも知れません。最後に今回の有意義な観察会の企画をしてくださったスタッフの方々に感謝申し上げます。

またこのような観察会の機会がありましたら、ぜひ参加したいと思います。


 引用・参考文献

1:*「日本原色虫こぶ図鑑」 湯川淳一・桝田長編著 全国農村教育協会 1996 p99-105.

2:地球温暖化と森林害虫ー北海道を例として 福山研二著

 *温暖化に追われる生き物たち」堂本暁子・岩槻邦雄編 築地書館 1997 p318-335. 

3:「虫こぶハンドブック」薄葉重著 文一総合出版 2003 p13.

  *印の書籍は、福島県立図書館所蔵書籍です。

 

登りはじめはダケカンバ林

キタゴヨウマツ林を歩いて

メモ

ひたすら歩いて

ダケカンバの広場で小休止

珍しいブッシュ樹形のダケカンバ

自然が造ったスキー場?

姥ヶ原のトレッキングパーテイー

何があるのかな

頂上まであと少し

安達太良連峰

やっと着いた

西吾妻山塊

ロープ補修作業

大展望の昼食

高山展望

 

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