74回観察会・高山・的場川周辺のブナ雪上観察会 2005.2.5()

 

25日(土)に高山・的場川周辺のブナ雪上観察会を実施しました。参加者は16名でした。土湯温泉から川上温泉方面に向かう道路の右手に開かれた不動湯温泉への登山道から歩き始めました。杉植林地斜面を進み、その右手に開かれた高山ツアーコース149番の黄色い看板が打ちつけられたコナラが目印の「高山」の山スキーコースを辿りました。枝打ちなどよく管理された人工林の急傾斜を登り、新男沼林道の十字路に出ました。

前日に降った新雪が重く、林道歩きはともかくとして、急斜面のショートカットには苦労しましたが、コナラやミズナラ、ヤマグリの樹皮の違い、ツノハシバミの冬芽、ニホンザルの食痕。ケヤマハンノキの赤い花序などを観察しながら何とか高山登山口に到着。一息いれてから登山道を登り、902mから分岐するミズナラの2次林に分け入りました。緩いピークを越して振子沢への急斜面を下ると振子沢を境界にして林相が一転、ようやくブナの大木が優占するブナ林に到着しました。ここは会の原点とも言うべき場所です。時々、強風が斜面を吹きぬけるたびに森は白い世界で蔽われ、ブナとミズナラの巨木群が聳え立つ斜面の景観がより一層、荘厳に脚色されました。

登りはじめは杉の植林地

歩いて

歩いて

ひたすら歩いて

コナラ

ヤマグリ

ミズナラ

ケヤマハンノキ

何があるのかな

再び歩いて

あと少し

やっと着いた

高山・的場川周辺のブナ雪上観察会に参加して   吉田 勝子

インターネットに載せられた巨大なブナ。ゴツゴツした樹皮からは年代と風格が伝わってくる。2月5日(曇り)参加人数16人。垂直な雪壁で固められた道路脇の登山口を這い上がり、スキーが先頭スノーシューが後に続いて歩き始めた。フワフワ雪の歓迎に汗がにじんできた頃、ニホンカモシカの足跡に出会った。「右前足の足跡に右後足を、左前足の足跡に左後足をつく。」との説明に目を近づけて見ると足跡が重なってついていた。ノウサギの足跡は大きな後足が並んでつき、その後に前足が前後してついているのに対して、ニホンリスは前足と後足が行儀よく並んでつき、両方とも進行方向に後足がつくことが分かった。時間がたった足跡もあったが観察会の資料で確かめることができた。

林道に出ると樹木の観察会に変わった。根元から何本も幹が出ているエゴノキ・枝の先端に雄花が2.3個垂れ下がるケヤマハンノキ、ケヤマハンノキに似ているが先端より少し下に雄花を2個垂れ下げたツノハシバミ、ウリハダカエデ、カジカエデと次々の説明に頷き頷き歩いた。佐藤さんがつけてくれた巨木ブナの正面に続くトレースをはやる心を押さえ歩いて行くと、群を抜いだ一本の大きなブナが現れた。小さな沢をはさんで全員で見つめ歓声をあげた。高橋さんは平らなところに職人技のスコップさばきで16人用テーブルを作ってくれた。帰り支度を済ませブナを見上げていると突風が背中を押した。それを待っていたかのようにブナに向かって歩き始めた。樹皮は幾重にも波打ち深い溝が縦に刻まれ瘤ができていた。風雪にさらされ何百年も生きてきた証がそこにはあった。少しずつ上げていった目線は、思いもよらぬ生き生きとした木肌への変容に驚き根元と何度も見比べ見つめ直した。なおも見上げていくと灰色の空に四方八方に伸ばした白い枝は、4尺玉花火のように私を包んでいた。威圧さえ感じられたブナは慈悲の温かさにあふれていた。目をつぶるとゆったりとした声が降ってきた。「寒い日によく来たね。春夏秋冬それぞれ味わいがあるよ。それを確かめにいつでもおいでよ。」そこはメルヘンの世界の入り口だった。

一陣の風

まずは昼食

でかいでかい

そろそろ帰るよ

急斜面はブナ林で崩壊を免れている

統領ブナ上部

統領ブナの幹は維管束(血管)が隆起

ブナ林の対岸はミズナラの2次林

 

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