53回水源の森復元ボランテア・龍ヶ岳観察会 2002.6.2(日)

6月2日(日)に旧鳩峰牧場の植林と龍ヶ岳観察会を行いました。旧鳩峰牧場は、摺上川の源流域に開拓された牧場で、ここでの植林は「水源の森」を復元させる活動とも言えるものです。今回の植林ボランテアは福島森林管理署、JA山形おきたまの協力を得て実現しました。

当日は快晴に恵まれ、絶好の植林日和となりました。高山の原生林を守る会会員48名に、福島森林管理署、JA山形おきたま、福島市役所からの出席者を含めると総勢60名を越える参加者となりました。福島森林管理署、JAより植付け作業手順の説明を受けて、JAで準備していただいたミズナラ、イタヤカエデ、クマシデ、ナナカマド、ヤマザクラなどの苗を受け取り、早速植林作業に取り掛かりました。牧場とは言え、礫交じりの土を掘り起こす作業は、不慣れなこともあり、思ったより大変そうでしたが、参加者は思い思いのぺースで260本の苗を植え付けていきました。牧草に混じってイタヤカエデやタニウツギの実生も確認できました。また林道沿いの急斜面ではタニウツギやアキグミの潅木に混じりハンノキの幼木が育ちつつあり、森の再生の息吹を感じることができました。2時間足らずで植林を終え、昼食の後、龍ヶ岳を散策しました。

 龍ヶ岳の登山道は、高畠町の山愛好グループにより整備されているものです。刈払い幅が最低限に抑えられ好感が持てる登山道でした。季節風の通り道となっていることから峠から尾根までは、ヤマツツジやアキグミ群落が優占するマント植生が形成されています。カマツカ、シロバナツクバネウツギ、アズキナシ、アズマギク、ベニバナイチヤクソウ、スミレ、ヒメハギなどの花が楽しめました。尾根に上がるとブナやミズナラ、シナノキ、アオダモ等の中木の間からツクバネウツギ、ヤマモミジ、アズキナシ、レンゲツツジ、ムラサキヤシオ、オオバスノキなどの花を観察することができました。

 高山の原生林を守る会のステップアップともなる新たな試みでしたが、事故もなく無事終了することができました。次年度以降、最低でも5ヵ年はここでの植林作業を継続していく計画です。6月の第1日曜日で定例化の予定ですので、会員の皆様のご協力をよろしく御願いします

まずはごあいさつ

植付けの説明を受けて

植林開始

思ったより硬いな

そのくらいでどう

よいしょっと

根付くといいね

次はどこだ

一家総出

第53回自然観察会に思う 猪苗代町在住 大竹 力

 入会してはじめての参加だった。イメージはしていたものの、植林という行為の大切さを痛感した。自分が手にしている苗木が数年後、数10年後にどうなるかと考えながら、根本を覆う土を踏みしめる作業は感慨深いものがある。どこかの会社のコピーに「木を植えています。」とあったが、高山の原生林を守る会こそ、木を植えています!と言いたい。

 福島森林管理署およびJA高畠の皆様のご協力を頂いたわけだが、この方々から長い間、森林に関わってこられた話を伺うことができた。一言一言に重みがあり、印象に残った。

 さて、今後の樹木の成長がやはり気になる、活着したかを見届けたいし、下草刈りや間伐もしたい。はてさてどうするか?子供たちに継承伝承していくしかない。若い力が不可欠だ。当会の益々の発展のためにも新規の若年会員を増やすべきと考えた。微力ながら応援したい。

植林日和

これからの森のかたち

〜水源の森復元ボランティアに参加して〜  渡辺 仁

 エゾハルゼミがにぎやかな山形側の森をクルマで上りきると、鳩峰峠周辺はツツジの花が印象的で思いのほか開けた場所だった。開けていたのは、もちろん大昔からそうだったのではなく、本来はその周囲のような森だったのだが、牧草地として開拓し利用してきたからである。ヨーロッパの牧草地にしても、日本の牧草地にしても、その多くは本来の生態系(森林)を人間の生産活動に応じて改変してきた歴史がある。

 ちなみに、現在だとこのような形での開拓はアマゾンやインドネシアに集中しているが、このことによる森林の喪失は地球的規模の問題を引き起こし、日本での農地開拓とは全く次元の違うスケールになっている。

 ところで、今回のボランティアには予想をはるかに上回る参加者があり、私もちょっと驚いてしまった。小さなお子さんを連れた家族連れから高年齢層まで、幅広い年代の人たちが集まった。

 各グループで広葉樹の苗を持ち、牧草地に散らばった。唐鍬で地面を掘り起こすが、牧草の根が思ったよりも手ごわく、緻密な根を切るのにけっこう力を必要とした。当たり前だが、落ち葉の堆積でできている林の土とはだいぶ違う。

 この土をほぐすべくなるべく広く掘ろうとするが、けっこう石が入っていて思うように堀り広げられない。柔らかそうに思えた牧草地の土だったが、これでは自然にまかせても実生が育って森になるのは気の遠くなる話だと実感した。だからこそ、このような広葉樹植林に意義があるのだが。

 今回の植林では、牧草地として利用してきたJAさんと国有林として管理する森林管理署、そして水を利用する市民というそれぞれの立場の人たちが共に同じ森づくり活動を行ったということにも大きな意味があると思う。ちょっとはやりのコラボレーション(協働)という言葉がまさにぴったり。

 CO2削減でも森林の役割は大きく、植林地の育林も含め、今後もこのような活動が活発に展開していくことを願ってやまない。

アキグミ アズマギク ヤマツツジ
スミレ ツクバネウツギ ベニバナイチヤクソウ

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