96回観察会・蟹ヶ沢周辺早春花観察会 2008.4.27()

427日(日)に蟹ヶ沢周辺の早春花観察会を実施しました。参加者は15名でした。予報ではぐづついた天候が心配されましたが、時折日差しも射す比較的穏やかな1日となりました。

ミズナラの2次林とスギ植林地の間に拓かれた林道をゆっくり進むと、左側に広大なカラマツ植林地、右側には湿性原野が広がります。そんな中にあって林道沿いではゆったりと枝を広げたブナの壮木が存在感を主張し、かつてこの一帯がブナの自然林であったことを想像させてくれます。

今回はヤナギの観察がテーマのひとつです。ヤマネコヤナギの雄花と雌花でヤナギの花の形態の違いを確認しました。沿道ではシロヤナギの雌花も咲き始めていましたが、オノエヤナギはすでに花が落ちており、花が観察できたのはかろうじて雄株1本だけでした。しかし、赤い表皮を脱皮中のミズキの新梢やティカカズラに似たツルマサキの実生、花を着けたブナ、大きなテツカエデとトチノキの芽生えなど予期せぬ春の息吹の瞬間に遭遇することができました。

一方で林道周辺や沢沿いには空き缶やペットボトルなどが無造作に捨てられ、不愉快な光景も。全員でゴミを拾い集め観察会を終了しました。美しい湿原や広葉樹の2次林と人工林や荒廃した蟹ヶ沢源流部、散乱するゴミが混在したこの一帯の光景に複雑な思いを残しながら帰路につきました。

バッコヤナギの観察

ツルマサキとシロヤナギ

テツカエデの観察

ブナの花

                  高湯・蟹ヶ沢の早春花観察会日記   青柳 静子 

ホームページを開いてみると、今回は「早春花の観察会」とある。想像しただけで、心躍るものがあった。当日、集合場所に行くといつものメンバーに再会。参加する度に思うことだが、皆パワフル!ついつい自然観察なのに、人間ウオッチングをしてしまう私(笑)

今日はどんな発見があるかワクワクしながら車に便乗し、惣八郎まで移動。私は初めて訪れる場所である。途中、山道に入ると車窓から新緑に混じって若葉が赤茶色のオオヤマザクラ、花びらの色が淡いピンクのウスズミザクラ(エドヒガンザクラ)が咲いていた。じつは今日知った名前だった。車を停めて歩き出すと、雪上にカモシカの足跡を発見!歩く左手にカラマツの植林が続く。鉄道の枕木に使ったそうだ今回のポイント、3種類のヤナギの違い、特徴を教えてもらった。ルーペを借りて花を見た。今度見つけた時は、見る目が違うと思う。

しばらく歩くと遠くに高倉山が見え、その手前、蟹が沢には護岸工事場所。崩壊を繰り返したせいか荒涼としている。木がなくて痛々しい。湿原のところで昼食、休憩をとる。頭上を見上げるとオオタカ?私は見逃してしまった。ミズバショウの美しい湿原!傍らにはイワウチワとオウレンが咲いていた。ヤジダモの木を発見!冬芽が黒い。私もルーペを借りて芽の観察。休憩後ブナ林を登って行く。斜面一帯イワウチワで、すごいね〜きれい〜を何度も繰り返した。葉もツヤがある。尾根上にはクロベ、この辺にあるのはめずらしいそうだ。そして、大木のブナがあり、まさしくマザーツリー!キハダは樹皮に弾力があり、皮を剥ぐと鮮やかな黄色で、噛んでみるとすごく苦かった。下って湿原近くに戻った所で、雪上にサンショウウオのタマゴを発見!カエルのタマゴのようにゼラチン状のものに覆われている。何故、沼ではなく雪上なのか?タマゴから孵るまで持ち帰って観察してみたい衝動に駈られた。

ゴミ拾いと、フキノトウもちょとだけ摘みながら帰路に着く。今回はいくつもの発見がありすごく嬉しい。目に映るすべてのものはメッセージ♪こんなにすばらしい手付かずの自然をいつまでも守っていきたいと思った。

トチノキの発芽

ミズバショウが植生する湿地帯

ミズゴケ

イワウチワ

帰路はゴミを拾いながら

ゴミの山

崩壊地帯の護岸工事後

ヤマアカガエルの卵?

高湯・蟹ヶ沢の早春花観察会   高梨 京子 

久しぶりに観察会に参加させていただき感激でした。

 高湯高原、松川支流の湿原まで行く。お天気も良く残雪の感触を感じながら歩く。山々の木立はやっと芽吹き始め、ほんのりと(ぼんやりと)色づき、それぞれの木々が色々に彩られ、山全体が太陽を受け、本当に嬉しそうに笑っている。葉の出ない芽吹き前のこの時期が一番好きである。

 今日はヤナギの観察でバッコヤナギ、オノエヤナギ、シロヤナギを資料により説明を受ける。雌雄異株でバッコヤナギの雄花は派手で美しい。役目を終えて地面に落ち、哀れな毛虫の様に見える。雌花は地味で苞も添えて咲いている。素直に伸びたブナ林に可愛らしい花を着けたツノハシバミ、マルバマンサクに感動する。

 沢の湿地にミズバショウが咲き始めていた。食事の場所にイワウチワが一面に咲き、オウレンが数本あった。尾根の上は山いっぱいにイワウチワが咲き誇り、色の濃いのや薄くて白っぽいのと素晴らしい眺めである。踏んで歩くので申し訳ないくらい。下からの眺めはもっと素晴らしかった。

 帰り道、雪の上に卵塊があった。何だろう?サンショウウオかアカガエルか。黒い目玉が見えたが不明。道々にフキノトウを採りながら歩く。女性は何か採って行きたくなるもの。人の入らない素晴らしい場所。大事にして欲しい。

(編集者注:雪の上に卵を産んだ両生類は、ヤマアカガエルのようです。観察会での説明を訂正します。)

尾根筋は若いブナ林

キハダの幹

キハダの観察

ウスバサイシンの花は満開

ヤチダモの冬芽

ヤチダモの幹

オウレンの雄花

オウレンの雌花

 

 

 

 

 

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