94回観察会・高山南山麓巨大ブナ観察会 2007.11.25()

シナノキの果実

小春日和

山の恵み

ツルウメモドキの果実

オオウラジロノキの果実(94回観察会から) 鎌田和子 

巨大ブナのところで、直径2センチくらいの球形の果実を拾った。アズキナシやウラジロノキの果実とは大きさが違う。今まで見たことがないものだ。さくらんぼのように、果実が2個、柄についている。全体は黄緑色をしているが、一部が淡紅色を帯びている。ズミ?思いつく植物名をあげてみた。少し前を歩いていたYさんは、「やまなし、クラムボン。クラムボンは笑ったよ」と宮沢賢治の世界を想起し、Oさんは、「その果実の○○の感じはバラ科ね」と専門的な観察力を発揮する。さて、佐藤守さんは何の果実というのだろうか。写真を撮っていて、みんなからやや遅れてやってきた守さんは、その果実を見るとすぐに「ウラジロノキ、でなければオオウラジロノキかな」と言われた。ここいらにオオウラジロノキが植生しているから、その果実があってもおかしくないと付け加えられた。オオウラジロノキ!そんな名前の樹木があったなんて知らなかった。果実が大きいからオオウラジロノキなのかしら。ウラジロノキとどう違うのだろう。家に帰って調べる楽しみができた。またもや宿題を抱えて帰ることに心が躍る。

夜、家族が寝入ってからそっと起きて、図鑑「樹に咲く花」のオオウラジロノキの果実の解説を読んだ。拾った果実は確かに守さんが言われたとおりオオウラジロノキの果実だ。オオウラジロノキはリンゴ属、ウラジロノキはナナカマド属であることも初めて知った。翌日、物好きの虫がわいて、オオウラジロノキの果実のタネを取り出してみた。ついでに果肉の味見もした。酸味が強く、苦味も感じたが、まさしくリンゴの味だ。直径2センチの果実にしては種子の長さが7ミリもあって大きいなと感じた。そうか!種を残すためにはタネは大きくないとね、などと勝手に納得してしまった。

信夫山で拾ったウラジロノキの果実があることを思い出し、そのタネを取り出して比べてみた。物好きの虫はエスカレートしていくものだ。写真の上の方のタネがオオウラジロノキ、1個分。リンゴ属らしく、リンゴのタネそっくり。下のほうはウラジロノキの果実2個分のタネ。リンゴのタネとは少し異なる感じ。名前は似ていても属が違うにはそれなりの違いがあってのことなのだろうか。たったこれだけのタネを観察しただけで、あれこれ分かったようなことを言うのはお笑い草だけど。植物の世界に足を踏み入れたようでワクワクしてきた。巨大ブナを見に行って、オオウラジロノキの果実と出会えてラッキーだった。私にとって新たな樹木を知るチャンスになったこと、植物の分類の階層の名前(界、門、綱、目、科、属、種という順にグループが小さくなる)を大まかに知ったことは収穫だ。来年の観察会にはどんな出会いがあるのかなと思いを馳せつつ、今年最後の観察会の締めくくりとして記してみた。

オオウラジロノキの果実

オオウラジロノキとウラジロノキの種子

衰弱が著しい巨大ブナ

 

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