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高山・北限のシラビソ観察会に参加して 柳田 美津子
今年の雪うさぎは、早々に姿を覗かせたものの、寒気が訪れるとたちまち雪に埋もれてしまい、それでも幾度か繰り返しながら陽春を漂わせていた。そんな吾妻山に思いを馳せ、この観察会を楽しみに待っていた。当日朝の空はどんよりと曇り、気象予報では一日中雨。代表の方々も遂行すべきか迷っている様子だった。やがて山を覆っていた雨雲もいくらか南下し、頂上を覗かせ始めていた。「高山に行きましょう。」代表のその言葉に、思わず歓声を上げたのは言うまでもない。 スカイラインのゲートに入ると、例年なら見上げる程の雪の回廊も、無残にも貧弱で寂しい。それでもスカイラインの頂上付近に差し掛かると2メートルはあったろうか、吾妻の山はまだまだ雪深かった。駐車場で山スキーやスノーシューを装着し出発。間もなく巨大な松、キタゴヨウに出会う。15mの高木で樹齢は太い幹周からして、一千年前であろうとのこと。吾妻の噴火を幾度も見据えてきたのだろう、老木さながら勢いがある。さすがに松ぼっくりも巨大だ。一枚剥がし説明を受けた。翼が長く種子を大事そうに包んでいた。雪原の鳥子平へと入っていくと、夏鳥メボソムシクイやキクイタダキのさえずりが聞こえてきた。ウサギの足跡、それを追うキツネの足跡が点々と森の中へと消えていく。すると、目の前を大きなしっぽの小動物が横切って行った。残した足跡は、なんと可愛らしい小さな爪のリスだった。森はシラビソ、オオシラビソ、コメツガの針葉樹林が続き、それぞれ葉や特徴を教えて頂きながら奥へと案内された。やがて偶然にも三種が立ち並ぶ不思議な空間にたどり着く。そこが北限の地であると思うと感慨深かった。その後雨の為、高山へは行けず残念だったが、自然を守ろうとした高山の原生林を守る会の方々の趣旨に改めて出会えたような気がした。 |
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ノウサギとキツネ |
ミネカエデ |
オオシラビソとコメツガ混交林 |
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ツアー標識 |
ダケカンバ |
つかの間の木漏れ日 |
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オオシラビソ(葉裏) |
オオシラビソ(葉表) |
シラビソ(葉裏) |
シラビソ(葉表) |
オオシラビソ(左)とシラビソ(右) |