88回観察会・仁田沼雪上観察会 2007.2.04()

24日(日)に仁田沼雪上観察会を実施しました。参加者は17名でした。

今年の冬は、記録的な暖冬で、今回の予定コースも前の週には雪がほとんどない状況でした。しかし前日に久しぶりにまとまった雪が降り、何とか雪を踏みしめての観察会をすることができました。駐車場からしばらく続くアカマツ人工林の登りでは、アカマツの間を縫って広葉樹が伸びだしています。そんな中、鎌田さんがアオダモを見つけるとアオダモの冬芽の色を表す日本語を調べた結果、「鳩羽ねずみ」と呼ばれる色に最も近いことを参加者に披露してくれました。私は「ハトバネズミ」と言う語感から「波止場に棲む鼠」を連想してしまい、暫くしてようやく鼠ではなく鳩の羽にたどり着くことができました。

仁田沼では、高橋さんが持参した雪の比重を計る道具を使い、新雪としまった雪の比重の違いを実証し、雪の量と水の量の関係を分かりやすく説明してくれました。また今年の積雪は40cm足らずで以前に同じ時期の観察会で計ったときより100cm以上も少ない積雪量でした。男沼の水場付近で昼食をとりました。例年結氷してワカサギ釣りができる男沼ですが、今年は全く氷がなく波打つ水面が異様に感じられました。あけぼの湿原を経由しての帰路では、熊棚や小沢にできたしぶき氷などを観察し、登山口に戻りました。

塩の川崩壊告知

新雪を踏みしめて

観察会風景

観察会風景

2次林

リョウブ

ノリウツギ

仁田沼湿原のハンノキ林

                                 仁田沼観察会に参加して      伊藤順子

 目覚めると少なからず吹雪いている。「おかしい!?」今日は立春、例年なら節分の荒天が一変して穏やかな陽光が差す筈、、、。少し暦がずれたのだろうと松川まで来ると道は乾燥していた。「良かった〜」と思ったら市内に入って裏切られた。余裕で到着の筈がギリギリの到着となり、もう殆どの方が集まっていて参加手続きをしている。仁田沼の駐車場までは4台の車に分乗させて貰う。車内でのおしゃべりで修学旅行の女学生気分になる。土湯温泉の市民センターでトイレ休憩。2つしかないけれど立派なトイレだ。そこからのくねくね道は雪道だけに運転する方の苦労が思いやられ、ひそかに恐縮する。

仁田沼駐車場で身支度、準備運動・オリエンテーションをして歩き始める。夏道では何度か訪れた事はあるが、冬は初めてだ。入り口からいきなり反対方向へ行きかけて慌てて引き返し,皆の後を追いかける。登り始めは15cmそこそこだったけど、段々雪が深くなって来た。傾斜がきつくスキー板の扱いに困る場所もあって、此処は「公園」ではなく「山」なのだと改めて思い知らされる。風が冷たく雪も吹き飛んで来る。一瞬、強い風が吹いて木々に積もって居た雪がリズミカルにバサバサと落ちて来る。「会えて嬉しいよ!」と滅茶苦茶握手された感じで「私も嬉しいよ!」と返礼したくなる。
 高橋さんが熊棚を見つけ熊の受難の話のあれこれをしてくれる。優れた自然観と再認識されているアイヌ文化の中では熊はカムイ(神)の使いだとか。(キリスト教で言えば天使だ!?)遊歩道の直ぐ傍に作られていた熊棚は「此処は山だよ!神の領域だよ!」と警告しているような気がした。山の自然と一対一で対峙する瞬間がとても好きで、つい先頭に発ってしまうのだけど、仁田沼分岐からゆるやかな心地良い登りに誘われて進んだ先にニガキかな?と思える大木を見つけ、「これは訊いておかねば!」とじっと木を眺めながら皆を待っていたら、どんどん後ろが静かになる!?よくよく見たら仁田沼は分岐から直ぐ目の前にあり,私は女沼方向の道に誘惑されてしまって居たのだった。
 仁田沼の積雪は39cmで例年の1/3だとか。周囲の林は風当りの所為か枝の雪は皆吹き飛んでいる。すくすく伸びて風に揺れる様が空に手を振っている様だ。落葉樹の中に細々と生育しているアカマツ。いつか「マツやカラマツは聞き分けの良い子で、どんな環境でも育つけど、本当に自分の好きな場所だと筋良く育つのだ」と聴いた事がある。アップダウンを繰り返して男沼の岸辺の林の中で昼食を摂る。近くに伸び伸び天を目指しているアカマツを見つけた。「自分の居場所が見つかって良かったね!」と嬉しくなる。男沼に35年間通っている高橋さんが凍っていない男沼を見るのは初めてだと言う。私の地域で今年の歳の神の日は雨だったが、これは私が○○年生きて来て初めての事。地球温暖化が直ぐ傍まで来ている不気味さだ。
 帰り道、林の中に入ると風が急に穏やかになる。守さんが何気なく「木があるとこんなに違うね」と呟く。徐(しずか)なること林の如し・・・黙っている木々にどれだけ恩恵を受けているか、じっくり考えてみなければと思った。

積雪深は40cm足らず

男沼へ

男沼

熊棚

小さなしぶき氷

裂傷痕(コブシ)

コマユミ

 

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