80回観察会・高旗山自然観察会 2005.11.27()

 

1127日(日)に高旗山自然観察会を実施しました。参加者は23名でした。高旗山は山頂に大伴家持が祀られている信仰の山です。その登山道は社を祀る参道というわけです。

入山して間もなく、カエデの落ち葉を見つけると、いつもの観察会モードに入りました。今回は、初めての参加者が多いこともあり、常連の会員とのやり取りもあって、落ち葉談義も賑やかなものとなりました。アカマツ交じりの2次林をしばらく進むとブナの風格のある姿が右手の斜面に見られるようになります。林床に植生する植物相も明らかに変化して、ミヤマカタバミやジュウモンジシダの群落が見られました。ミヤマカタバミは湿ったところを好むことから、ブナにより土壌の乾燥化が抑制されているものと思われます。このブナ林を通過すると登山道は小尾根に出ますが、その出合では存在感のあるイヌブナの壮木が観察できました。イヌブナは阿武隈山系に多く植生していますが、吾妻・安達太良連峰や那須甲子県境山域では見られません。このことから高旗山は植物分布上の分水嶺であることが分かります。谷間にある唯一の水場では、この時期でも涸れることなく水が流れていました。やがてカラマツの植林地を通過しますが、カラマツに絡んだツルウメモドキの美しい果実が荒涼とした風景を和らげていました。

間もなく富岡方面(高旗鉱山跡)からの分岐と合流し、更に広くなった登山道を登っていくと鳥居が現れ、頂上に飛び出しました。鳥居の近くでは見事な箒状のブナが観察できたのとは対照的に、頂上では伐採されたばかりのブナの木が無造作に放置されていました。展望を確保するための整備なのでしょうか。周辺のわい性化したブナから頂上の風当たりの強さが相当のものであることが理解できます。そのブナを伐採すれば頂上付近の植生は大きく変化してしまうことは容易に想像できます。いまだにこのような‘善意の整備’しかできない関係者がいることに残念な思いを頂上に残して下山しました。

箒ブナ

 

 

 

 

 

 

 

               高旗山自然観察会に参加して       松井 さき子                           

 今回の観察会に参加させて頂いたきっかけは、阿部ミイさんからの誘いでした。以前から聞いてはいたのですが、参加して大変勉強になりうれしく思います。

私の山歩きは花・木(特にブナ)、風景の写真を撮りながら、追いかけ着いていくというトレッキングが主でした。でも先日の観察会は、一歩踏み出した山歩きでした。葉の落ちた木々、落葉、木の芽、木の実、冬でも緑のシダ類。こんなに観るものがあるのかと驚かされました。

 一つの木の芽にしても冬芽や、葉痕のひょうきんな表情はだれにたとえたらいいのでしょうか。今の季節だからこそ見られる光景ですね。あまり、時間に追われることなく、深く観察することのおもしろさ、楽しさを知りました。

「高山の原生林を守る会」は福島の自然を守る会、自然に楽しみながら、自然とふれ合いながら守っていく会だと思います。私も福島の自然を守っていくために少しでも手助けになればいいなと思っています。

 

            初めての観察会にて          柳田 美津子

 リュックを背に、晩秋の山頂目指し歩き出す。サクサク、雑木林の木の葉を踏みしめ、心地よい感触に浸り酔いしれる。ここまでは、いつもの私の山行光景だ。

とたんに、ヨウヘイ。キョシ。聞き慣れない言葉が飛び交い始めた。私の好奇心が全開し、聞き逃すまいと耳を傾けメモを取る。ひとつひとつ葉っぱを手に取り分類し、木々を探しては幹肌を観て確信する。カエデ、ナラ、シダ等など何種類もの生息に感嘆した。これもこの会あっての醍醐味に次回が待ち遠しい。幾度となく聞き返す私に、事細かく説明して下さり感謝したい。

 

高旗山自然観察会に参加して         安積 幸子

足元の花を愛で、新緑に心躍らせ、高山の涼風を楽しみ、紅葉にわが身を重ね、四季を通して山歩きをただただ楽しんでいた私は、双眼鏡を首から下げ、図鑑を小脇に抱え、足元の落ち葉から、ミズナラ、コナラ等観察しながら見分け方を勉強する「高山の原生林を守る会」の皆様の自然に対する真摯な態度に接して、自分自身を大いに反省し、学ぶところ大でした。

 私が以前から気になっていた、枝先が赤く花のように見える木が「ミズキ」と知ることができ、大満足でした。その他、アオダモ、アカシデ、リョウブ、ナツツバキ、ヒメアオキ、イタヤカエデ、ミネカエデ、ツルウメモドキ、シシガシラ、ミヤマウズラ、ジュウモンジシダ等が頭の隅に残った植物名です。

今後、私も双眼鏡を首に、筆記用具持参で参加したいと思います。(でも、実のところ双眼鏡をのぞいてもよく見えず、眼鏡をはずしたりかけたり、観察するのも記録するのも大変です。年齢のせいでしょうか?)こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

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