第164回自然観察会:土湯峠・新緑のブナ林と湿原植物観察会

19.6.2()

 
164回観察会(土湯峠にて)

第164回自然観察会:土湯峠・新緑のブナ林と湿原植物観察会

6月2日(日)に第164回自然観察会を開催しました。参加者は22名でした。今回は、当初予定していた吾妻小屋−鳥子平湿地間の遊歩道が火山活動のため立ち入り禁止となったため、野地温泉から土湯峠・鬼面山展望台を経由してブナッ子路を下る周回コースに変更しました。この山域は2002年に鬼面山山頂までの観察会を実施して以来となりました。
 通常であれば目的地に着いたらガイダンスの後、いざ観察となるのですが、今回はガイダンス前に参加者がエゾハルゼミを見つけ、身支度も早々に観察が始まってしまいました。改めて参加者の観察熱の高さに驚ろかされました。
 季節はブナ新緑の色が増す時期で、初夏のブナ林の爽やかな空気が漂う中、ブナ林を構成する木々の花を観察しました。なかでもウワミズザクラが満開でしたが、標高差約1000mの福島の田園地帯と比較すると開花期は1か月も違っていました。ブナの高木の下では発芽したばかりのブナの実生も観察できました。ブナ林を抜け、チシマザサとヤナギやツツジ類等の灌木主体の土湯峠を通り、鬼面山に向かいました。鬼面山は約45万年前の噴火によりできた溶岩ドームです。そこでの植生は乾いた環境でも生育できる樹木類が主体になりますが、その日陰ではツマトリソウがしっかりと息づいていました。展望台では磐梯山・吾妻連峰・飯豊山の眺望を楽しみました。帰路のブナッ子路のブナ林ではヤマトユキザサの花を観察しました。

エゾハルゼミ

何か見つけたのかな ブナの芽生えでした

 

 

ウワミズザクラ

 誰の仕業

ナラルリオトシブミでしょうか?

 クロボシツツハムシでしょうか?

オオカメノキとモモクロハナカミキリ ガクウラジロヨウラク ナンゴクミネカエデ 高山から東吾妻の峰々

土湯峠・新緑のブナ林観察会に参加して 吉田勝子

 

舗装道路の照り返しの道を歩き木漏れ日のブナ林に入ると 眩しくてしょぼしょぼしていた目がぱっちり開き 汗はす〜とひいて心地よい歩き。

 ブナ林を歩きながら 自然林の階層構造は限られた光エネルギーを有効に利用するため 高さにより高木層、亜高木層、低木相、草木相、土壌層といった立体的な構造になっていることの説明を木々や草花を観察しながら「なるほど」と頷きながら歩く。

 ブナ林の中歩きは土湯峠まで 土湯峠で喉を潤し鬼面山に向かう。ここからは安達太良火山の生い立ちの説明を聞きながらの登り。安達太良山の形成は3期に分かれて形成され約55万年前頃に鬼面山の溶岩ドームや前ヶ岳東部が形成され、35万年前頃に前ヶ岳から和尚山にかけての山体が形成され20万年前頃僧悟台、薬師岳、勢至平、箕輪山が形成され、12万年前頃より小規模なマグマ噴出により鉄山から体内岩や船明神などの山頂部分が形成されたのです。目の前の鬼面山は確かに溶岩ドームの山容です。登山道もガレ場で歩きにくい。しかし箕輪山への登りは粘土質の登山道。そして大きな岩場の鉄山や胎内尾根。今まで安達太良山は変化があり魅力のある山と思って楽しんで登っていましたが 今回の観察会に参加し安達太良を見る目が変わりました。何十万年という長い時間をかけて鬼面山から前山への稜線が形成され最後に沼ノ平周辺の荒涼とした地形ができ安達太良山の景観のみどころが出来たのです。

 観察会に参加させていただきたくさんの草花の名前を知ることができました。草花の名前が分かるようになると不思議と草花に愛着が出てきます。庭の雑草もだいぶ名前が分かり草むしりも楽しくなりました。代表さんはじめ会員の皆様と楽しくお付き合いできたことに感謝いたします。長い間お世話になりました。ありがとうございました。

 
ツマトリソウ  ヒメアオキの雄花 チシマザサ  お腹が空きましたね
 

緑深まるブナ