158回観察会〜塩手山(新緑の里山)と新地町防災緑地公園観察会

18.5.13()

 

5月13日(日)に塩手山(新緑の里山)と新地町防災緑地公園観察会を実施しました。参加者は15名でした。福島大学の黒沢教授と学生の増田さんが参加されました。今回は塩手山に、新地町防災緑地公園と中磯(舞子浜)の観察会が加わり、1日で済ますにはもったいない観察会となりました。防災緑地公園の観察では県相双建設事務所の高橋道路・橋梁課長に案内していただきました。塩手山は、登山道整備計画が地元紙で紹介され、過剰整備を心配する声が会員からも寄せられていましたが、登山口で偶然その関係者にお会いすることができ、お話しすることができました。出発地点から観察ポイントが豊富でなかなか山道に達しません。自然林に入ると黒沢さんと増田さんは質問攻めの状態でしたが、参加者は、聞けば即座に帰ってくる回答に大満足の様子でした。昼食後、新地町防災緑地公園内に環境保全地区として整備される塩性湿地や自然観察池を観察しました。高橋課長から計画の概要を、黒沢先生からは、湿性地を再生する試みは前例がない画期的なものであるとの説明を受け、高橋課長の案内で整備地区の植生を観察しました。最後に、中磯に移動し、ハマナス、ハマエンドウ、ハマニガナ等のわずかに残された浜辺の貴重な植物を観察しました。箱物優先の復興事業の中で湿性地再生を目指した事業は異例で、住民が関心を持って見守ることが強い後押しになると思われます。

オオカワヂシャ

コウキヤガラ

アブラツツジ

ハマエンドウ

 

 

 

 ヤマガシュウ

 ヒメコウゾ

 説明に聞き入る

ツクバネ雌花(左)と雄花

   158回自然観察会:塩手山・初夏の里山自然林観察会に参加して    増田柾人

先日は観察会に同行させていただき誠にありがとうございました。
自分は県外の出身というだけでなく、海に行くこともあまりなかったためにこのような植生があるのかととても驚かされました。
塩手山ではヤマガシュウなどの山の植物やカシナガキクイムシの食痕のような珍しいものを見ることができただけではなく、福島市内との花季の違いに驚きました。
 新地町や大戸浜では、コウキヤガラをはじめとした海岸の塩性湿地性の植物や砂浜特有の植物だけではなく、塩性湿地の保護に関わる貴重なお話を聞くことが出来ました。また訪れて経過を見てみたいです。
どちらも初めて訪れる場所であったため、初めて見る植物や昆虫がいて、不慣れなところからご迷惑をお掛けしてしまいましたが、貴重な体験をさせていただき誠にありがとうございました。
 とても楽しかったので、次回お誘いいただけたらぜひ行きたいと思います。
自分は祖父が植物の分類をやっていて、自身も小学四年生の時に県内初記録の帰化植物としてヌカイトナデシコを発見して以来、自分も植物に興味を持ち、植物だけではなく昆虫や冬虫夏草も含めていろいろと生物に興味を持ち、調べて知識をつけました。また、福島大学で黒沢先生が植物分類をしているということで福島大学に進学し、実家のある群馬県からこちらへ越してきました。
 群馬にいた頃もヌカイトナデシコ以外にもコシカギクなどの帰化植物を発見するだけではなく、ホシクサなどの絶滅危惧植物の新産地を見つけました。そういった発見以外にも県内北西部を中心にいろいろなフィールドでの植物の観察をしてきました。コシカギクの二回目の発見が部活の大会で訪れたグラウンド上であり、ホシクサに関しては下校中転んだ目の前の田んぼに生えていたなどといささか間抜けなエピソードもありますが。そういった経験を生かすというだけではなく、福島地域の植生などの知識を得ることで自らの糧にし、自分も成長していきたいと考えています。
 そういえば、観察会中に図鑑の話題になったと思ったので、私が個人的にお勧めする図鑑を紹介したいと思います。
 植物に関して初心者にお勧めする図鑑ですが、花のおもしろフィールド図鑑全三巻です。これは軽井沢でツアーなどの活動しているネイチャーグループであるピッキオ様の図鑑で、季節ごとの代表的な花が写真付きで花色で分けられて掲載されており、福島と一部異なる植生はありますが、代表的な山の花は数多く掲載されています。また、インターネット上で探すときはいがりまさし様の撮れたてドットコムも参考になることが多いです。
昆虫についての図鑑は申し訳ありませんがあまり詳しくありません。
 キノコについての図鑑は種数も多く、食用キノコに関しては調理法も掲載されている山と渓谷社の日本のキノコを私は利用しています。ただ欠点として大きいので持ち歩くのが難しいです。
 また、様々なより詳細な分野の図鑑に関しては、文一総合出版のハンドブックシリーズが使えることがあります。この図鑑は一冊一冊がそれぞれのジャンルに特化していますが、ハンドブックというだけあって図鑑にしてはサイズが比較的小さく、薄いため持ち運んでの確認がしやすいです。
それ以外にも図鑑は多種多様なものがあるので、最終的には自分に合った図鑑を見つけることがいいと思います。

 

ヤブムラサキ

湿地再生の意義について説明を受けました

断湿性地の植物を観察

ハマナス