152回観察会〜高山(瀬峰)ブナ林の新緑観察会

17.5.14()

 

5月14日(日)に高山(瀬峰)ブナ林の新緑観察会を実施しました。参加者は16名でした。当日は生憎の小雨模様になりましたが、霞が漂う林間に若葉が瑞々しく輝き、格別の森の表情を観察することができました。
 登山口で出発の準備もそこそこにダケカンバに巻きついたイワガラミの若葉が泡で被われる現象を発見しました。ダケカンバの樹皮の石鹸成分が幹流水中に溶出したためでした。登山道に沿った土塁では、自生するムラサキヤシオやコヨウラクツツジ、ガクウラジロヨウラクが咲き始め、滴る雨雫を纏った花輪が参加者の目を引き付けます。雨の中でなければ出会えない森の一面です。
 登山口から暫く続く2次林の林床ではウワミズザクラの芽生えやアオダモ、ムシカリの稚樹が多く見られました。目的は不明ですが、的場川への分岐を過ぎた950m付近は、1998年に一部が伐採されました。およそ20年を経てその跡地には若いミズナラ林が形成されていました。この様に登山口から瀬峰までは時期をずらして伐採が繰り返された形跡が認められます。30年前の会創立当時、瀬峰までの一帯の林相は貧弱でしたが、今では、それぞれの伐採時期に応じた代償林が形成され、ミズナラ林からブナ林に至る異なった遷移過程が混在するいわゆるシフティングモザイク現象が観察される樹林帯に成長していました。この貴重な自然林がこのまま保護されることを願いながら下山の途につきました。

ダケカンバに巻き付いたイワガラミの葉に泡が

散乱光に若葉が映える自然林

小雨模様の森はまた格別です

プレートは数十年を掛けて飲み込まれました

 

 

オオタチツボスミレ

 ミズナラ林にて

 マキノスミレ

雨の森は幻想的です

   152回 高山(瀬峰)ブナ林の新緑観察会に参加して    佐藤久美子

今回は、1年ぶりの観察会の参加となります。会員の皆様は、お変わりなくお元気で、笑顔で迎えてくれました。ありがたいです。参加者16名、守さんと奥田さんの車に乗り込み出発です。観察コースは、土湯男沼林道のゲートの許可をもらい通過して、高山登山口まで、車で乗り入れました。今回のコースは、高山を守る会のスキー場開発反対の発端の場所だそうです。朝から雨降りとなり、カッパを着て、折りたたみ傘の持っている人が多くて、色とりどりの行列が出来て、それもカラフルな感じです。
 車の近くのダケカンバの木肌に、洗剤のような泡が付いていました。雨の日は、樹脂が溶け出して来るそうです。初めて見ました。歩き出すと、足元にタチツボスミレが咲いていました。森は、もやに包まれて雨に濡れた新緑が瑞々しく、純白のムシカリの花がとても美しく幻想的な感じです。ウリハダカエデ。ハウチワカエデ、イタヤカエデの花たちも可愛らしく下がって咲いているし、コヨウラクツツジの花も可憐だし、アオダモの雨に濡れた緑色の木肌もリョウブ、クロモジ、ブナの若葉のつやつや、ふわふわ、もふもふの柔らかい赤ちゃんの様な感触がもう右を見ても、左を見ても、足元の芽出しの数も。生命力の強さを感じます。
 ふと、枝先の雨雫に 目が止まりました。1センチも無い、その雫の中には、反対側の広葉樹が、逆さまに、しっかりと映しだされています。それを、ルーペで覗くと、本当にビックリです。何度も何度も雫を、覗きこみました。ブナ林が、伐採されて、赤松が植林された森は、30年を経て。森の自分達の力で、広葉樹の立派な森に再生していました。暗かった登山道も明るい光の入る森に生まれ変わったようです。守さんが、何度も良い森になったなー。と嬉しそうでした。
 お昼は、雨の中車のトランクを屋根にして、美味しく頂きました。帰り道に、車で、伐採されずに残ったブナ林を、見に行きました。それはもう、伸び伸びと真っ直ぐで。幹も太く、枝もはっていて、堂々と凛として、息をのむ美しさです。残っていてくれてありがとう。
反対運動をしてくれて、このブナが守られて、本当に良かったです。高山を守る会に、感謝します。

ミズナラのシルエットに溶け込むアオハダの新緑

ムラサキヤシオの咲き残り

雨雫をまとったコヨウラクツツジ

雨でも豪華な昼食