151回観察会〜奥土湯・スプリングエフェメラル観察会

17.4.30()

 

 里山の自然に包まれて    佐藤ミチ子
    初めて参加させていただいた自然観察会。こんな身近なところに「すごいところ」があったんだと認識を新たにしました。男沼駐車場に着くや、見たこともないカタクリの群生が目に入ります。カタクリは花が咲くまで7〜8年かかり、蟻が種を運んで芽が出た1年生、葉っぱになった2年生を見つけると、里山の自然の営みが人間の時間と違うスピードで巡っていると実感します。春を告げる花々と数多く出会い、その佇まいに心癒されます。一つ一つが可憐にそっと咲き、派手な自己主張はしていません。しかしその姿は無視できない存在感を持っていて魅力的です。個性豊かな花たちの名前を覚えるには時間がかかりそうですが、まずは、スミレから。今回、タチツボスミレは名前と姿が一致したかと思います。
 
里山で人間は自然とつながって生きてきました。ナラやケヤキを炭焼きや木工に使い、生活のエネルギーや生活用品にしていました。私は、そんな生活の断片をうっすら思い起こせる世代の一人です。より快適な生活、より効率的な生活のため、里山を経済の歯車に取り込んだ様子も記憶の片隅に残っています。今回の観察会で、進路に向かって左側が昔からの里山、右側が杉の植林のあとに手つかずとなった山を一見する場所を見せていただきました。一目瞭然とはこのことでした。里山の悠久の時を刻む様子と、一時期の利益のために自然を痛めつけた様子は多くのことを考えさせてくれます。

 久しぶりに林の中で、お茶の時間を楽しみました。木々に新芽が芽吹き、青空が葉の色を輝かせ、透き通った風が渡っていく。穏やかな時間が足元の落ち葉に沈んでいく。里山の自然に包まれ、素直な優しい人間に戻れるような気がしました。

登山口から観察ポイントの連続

ヘチマゴケの胞子体

カタクリとキクザキイチゲ

スミレサイシン

 

 輝くブナ

 放置された杉植林地

思い思いに観察

芽吹きのパノラマを前景に昼食

       
 種皮を着けたカタクリ  ヒトツバカエデ  発見が一杯  輝くブナ