147回観察会〜高山・夏の山岳植物観察会

16.7.10()

 

7月10日(日)に第147回観察会「高山・夏の山岳植物観察会」が開催されました。16名の参加者でした。今回は20年以上前に林野庁が整備した幕川温泉を起点とした自然観察路をたどり、スカイラインから鳥子平を経由して高山山頂に至るコースを往復しました。幕川温泉からしばらくはサワグルミを交えた河畔林です。この一帯の豊富な湿気を反映して林床や岩には多くのコケが着生し、幽玄な雰囲気が漂っていました。原生的な佇まいを見せるブナ、ミズナラ、コメツガ、オオシラビソの混交林を登り終え、スカイラインに出るとシラビソが植生する高山西面が展望できました。テツカエデやミズキ、オガラバナが群生する自然林を通過して再びスカイラインに出ると、鳥子平までの車道脇は外来植物のミニ庭園です。しかし、ササの下にはベニバナイチヤクソウの群落が美しい花冠をのぞかせていました。

鳥子平ではモウセンゴケやツルコケモモ、ミヤマリンドウなどの花が見頃を迎えていました。オオシラビソ林中の程よい空間で賑やかな昼食をすませ、高山山頂に向かいました。要所でハクサンシャクナゲやゴゼンタチバナなどの花を観察しながら全員無事山頂にたどり着きました。山頂では鮮やかな赤と黄色がまばゆいばかりのイワオトギリの花が夏の日差しを独占していました。高山の豊かな自然を満喫できた1日でした。

高山西面はシラビソ群落

ミヤマカラマツ

原生的な雰囲気のブナ林

聳え立つブナ

   高山の会に参加して      池田 恵子

   去る7月10日、初めて高山に登った。登る前は、どんな風景が待っているのか、道は険しくないのか、期待と不安でいっぱいだった。

 幕川温泉から歩き始め、小さな板の橋を渡ると、急で狭い登山道だが、周りにはコケ類を始め、自然の植物が、次から次へと現れた。佐藤代表の説明に、どれどれと目を見張り、「ワッー、そうなの!」と一つ一つ、感動しながら登った。

 ブナとミズナラの関係は、まずミズナラが生育し、その後ブナが生育する。いわば、兄弟の様な関係であると、初めて知った。大きなブナの木は、見事な枝ぶりだったり、幹にコケが沢山付いていたり、まるで衣をまとっている様だった。今まで見たブナとは、ひと味もふた味も違った。また、カエデの葉と重なり、グリーンの見事なグラデーションもとても綺麗だった。秋にはどんな紅葉になるのか、見てみたいと思った。

 カエデにも種類があって、コミネカエデ、ミネカエデ、ハウチワカエデ、テツカエデを教えて頂いた。テツカエデには、かんざしの様な花が咲いていた。

 スカイラインの道に出る間際に、ベニバナイチヤクソウがあった。すると、道沿いの竹やぶに赤いピンクのイチヤクソウが群生しており、色を添えていた。

 さらに登ると、針葉樹のしっかりとした緑が現れた。シラビソとオオシラビソと言う名前も初めて知った。頂上でシラビソに触った。マツ科と聞いていたので、チクチクするのかと思いきや、その感触はとてもソフトでスベスベしていて、まるで絨毯の様だった。

 歩くのも疲れた頃、鳥小平の池塘が目に飛び込んできた。まさか池塘あるとは!!

池塘の周りには、ワタスゲ、ミヤマリンドウ、モウセンゴケの白い花、緑のトンボ草、モリアオガエルの卵まであった。高山は、まさに自然の宝庫なのですね!

 楽しいお昼ご飯を終え、頂上を目指した。足元の緑の中にゴゼンタチバナの白い花が、疲れを癒してくれた。そして、頂上付近には、ハクサンシャクナゲが、今が見頃と咲いていた。思いがけずシャクナゲを見ることが出来て、うれしかった。

頂上で一休み。頂上に着いた安堵感と空気が疲れを癒してくれた。

 スカイラインの道路沿いに、マーガレットとみやこ草が花壇の様に咲いていた。6月28日から7月5日、スイス旅行に行ってきた。スイスにも咲いていたと思い、世界は繋がっているのだと感じた。

 仕事で、寝不足の体をどうしたものかと心配だったが、説明を受けながら、感動しながら、皆様と一緒に歩けた事に感謝致します。ありがとうございました。

 

観察路整備の経過説明に聞き入る

ミズキの開花は麓より1か月遅い

 フランスギクとセイヨウミヤコグサ

昼食タイム

高山観察会に参加して      細井 睦子

 観察会への参加は昨年の北霊山が初めてで、吾妻山の隣三角の山、会の由来と共にその時初めて高山を知りました。そして今回、高山どうします?伊藤さんからの電話、自分の足で登って下るのは無理、今回はやめます。蓬葉からもよ〜く見える高山、とんでもない。

 大丈夫観察しながらで、ほらね、そして時間内に帰れそうに無いので頂上には行かないと思うよ。いつも自分の想像とかけ離れた現実が待っていて、それを消してしまう程の楽しさが待っている事を知ってしまった私は、即決「行きたい」でした。

 楽しい山の食堂のご馳走をいただき、長靴でなく登山靴で良かったのかな?今日は滑るぞと思って居ると、もうひと踏ん張りです、の一言。私の小さな心臓はバクバク、違う頂上なんて、残って帰って来るのを待ってますなんて、熊の居る山では言えないし。

 止まっての観察もソワソワ。シラビソとオオシラビソ。モミの木とカヤの木の違いをやっと覚えた所なのにと思いつつ、やっと頂上へ。

ご褒美のチョコレートの美味しかった事。帰りの心配まで溶けてしまったようでした。多めの休息と靴の紐を締めなおしてもらっての帰りは、周りを見る余裕は無かったけれど、意外と帰路を楽しんでいる自分がいました。

 今回は沢山の花に出えたのですが、心に残っているのは、今日起こる事を何も考えて居なかつた時に見たツタウルシ、ヤマウルシ、秋とは別の顔で触ってはいけない事。帰りの下りだけ向いて目に入って来た花の様で花でない、ゴゼンタチバナ、そして行きと帰りに気になった、太くて大きなウバユリでした。

 こんな私ですが、これからもよろしくお願致します。

 ベニバナイチヤクソウ

 ハクサンシャクナゲ

 モウセンゴケ

 イワオトギリ

 

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