第141回観察会〜安達太良・烏川自然遊歩道観察会

15.7.10()

   

7月10日(日)に第141回観察会「安達太良・烏川自然遊歩道観察会」が開催されました。11名の参加者でした。今回は烏川遊歩道とくろがね小屋までの通称馬車道と呼ばれる古典的な安達太良登山コースを組み合わせたものでした。渓谷沿いに発達したミズナラ林の中に整備された遊歩道に入ると切り土斜面には多くのシダ植物が生き生きと生育していました。シダの明るい緑が気分をすっきりさせます。コースの中ほどには夏の山岳でよく目立つヤマブキショウマとトリアシショウマが隣接して群生しており、葉の特徴をしっかりと比較することができました。開花しているのはヤマブキショウマだけで、トリアシショウマとは開花期が重ならないことが分かりました。滑床を走る渓谷流が涼を誘い、快適な沢の散策路の出口にさしかかる辺りで、思わぬ森の妖精が私たちの前に現れました。エゾミドリシジミでした。その羽の色はまさに生きた宝石でした。
沢を抜けると一転して乾性の登山道歩きとなります。それでも登山道沿いの切り土斜面には多くの植物が花を咲かせ、予定の倍以上の時間をかけての花観察となりました。松井食堂で昼食後、矢筈森直下のお花畑まで足を延ばし、高山植物の花々を満喫しました。猛暑に見舞われた夏の1日、たっぷりと安達太良の山岳植物を堪能し、満腹の観察会でした。
   

夏の渓谷の観察は爽やか

アオハリガネワラビ

ヤマブキショウマ

トリアシショウマ

 

 

昇竜滝の水流

水辺の観察

 エゾミドリシジミ

メスグロヒョウモン

141回自然観察会 安達太良・烏川遊歩道の河辺林と夏の山岳植物観察会     伊藤みどり

 

猛暑日の予報の中、ミズナラの巨木林を烏川まで下り、川を遡り滝を巡る、奥岳自然遊歩道は最高の納涼コースでした。頭上高く、ミズナラ、トチ、カエデなどの、葉の一枚一枚が微妙に重なり合って大きな緑のドームを作り、あのうんざりする真夏の太陽が、葉っぱの輪郭を浮き上がらせたり,透かせたりして、やわらかい木漏れ日となって林床でゆらいでいました。 

 シダ類について、守さんから情熱たっぷりの講義を受けましたが、ハリガネワラビだけ覚えれば良いとのことで、素直に従いました。(まるい胞子嚢がかわいい)。 ヤマブキショウマとトリアシショウマの区別は、葉脈。トリアシショウマの支脈は、葉縁まで辿り着かず、つまり、フラフラ千鳥足とのこと。(覚えやすい) ヒノキ林で出逢ったウスノキの実は、黒く熟しておいしそう。つい、「ベクレルは?」震災以来,身についた悲しい習性。    

 旧道から馬車道に抜けると、そこは炎天下。道沿いにヨツバヒヨドリ、クロズル、ハナニガナ、シロバナニガナ、ホツツジ、コメツツジ、モウセンゴケ、ヤマトキソウ。花はやっぱり、お日さまが好きらしい。辛うじて咲き残っている、艶やかなハクサンシャクナゲに「熱中症に気をつけてね」と声をかけてしまう 。  

 くろがね小屋の、太陽光発電パネルの庇を見下ろす場所で昼食。ベルトコンベアのように次々と廻ってくる、松井さんたちからの美味しいごちそうの誘惑に負けて,ついつい身の程知らずにいただいてしまった。

 昼食後、峰の辻に向かう。炎暑のガレ場をジグザグ、よちよち登る。重くなったお腹を抱え、チビチビ水を飲みながら。酒瓶を片手に、大道をふらつく酔っ払いの気分。正直、つらかった。「来なきゃよかった」と弱音を吐きそうになったとき、前方で「あった!」と歓声が上がった。山手の岩陰にひっそりと、でもアッチコッチで 「いないないばあ」をしているオノエランの白。谷間には、満開のサラサドウダンとベニサラサドウダン。さらに、ガクウラジロヨウラクのモスグリーンとピンクのパステルカラーが眼下一面に広がって、そのむこうの青い空に溶け込んでいく。

 豊かな自然を満喫できる今の平和と高山の原生林を守る会にあらためて感謝感激の一日でした。

イタドリ

イタドリハムシ

 ベニサラサドウダン

緑のノリウツギ

 

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