139回観察会〜北霊山・霊山のスプリングエフェメラル観察会

15.4.12()

   

  

412日(日)に第139回観察会「北霊山・霊山のスプリングエフェメラル観察会」が開催されました。19名の参加者でした。

今回は、霊山北方に開かれた静かな散策路を湧水の里から周遊しました。この上ない快晴の元、奇岩と表情豊かな木々が織りなす景観と林床に咲くカタクリなどの早春の花々を観察しました。   

出発前に自己紹介

19人が並んで歩く壮観

並んで並んで

早春の陽射しを浴びて

 

 

 

急登はスリル満点

松井食堂開店

 食べきれない方も

松井食堂で昼食後

139回自然観察会〜必死に登って、満腹、万福〜 長岡義人

 

息はゼイゼイ、心臓バクバクもうダメだ。足が一歩も動かない。後ろの女性陣に道を譲り、あとは黙って下を向き自分の足先を見つめるだけだった。だがその時、ある思いが私の空っぽの頭の中を駆け巡った。

それは、三日前の家人との会話で、家人から霊山に花を観に行かないかと呼びかけられたことだった。

「何言っていることやら、高所恐怖症のくせに。以前霊山の断崖絶壁で腰を抜かして、両側から高校生たちに支えられて、やっと崖上の手摺つき歩道を渡ったのを忘れたのか、あの時ここは卒業、もう二度と来ないと泣き言を言ったのは誰だ、それに俺の体力じゃもう山登りは無理。みんなに迷惑をかけるだけだから、行かない」

「それが登山じゃないらしい、山に咲いている花を観ながら、ダラダラと歩くだけらしいよ」と、家人は散歩気分での山歩きだからと、伊藤みどりさんからお誘いの電話があったことを報せた。

「エッ、ダラダラ歩き?俺ダラダラって言葉大好きだ。」ということでその話を真に受けて参加させていただいた、この度の霊山の山歩きだった。

さて当日は、前日までの曇り空がまるで嘘のような、雲一つない大晴天。小鳥の森公園の駐車場に集合して、3台の車に分乗させていただき、いざ霊山のお花畑へ。途中の里の桜は華やかに咲き誇り、この景色を眺めながら走るだけでも、来た甲斐があるものと思いつつ、車は霊山湧水の里駐車場へ到着した。さあいよいよここから総勢19人のダラダラ歩きのはじまりだ。

今日は半日の行程を一日かけて歩きますとの説明を受けてから、いよいよ観察会開始。皆の楽しそうな花談義を聞きながら、歩を進めたのだが、普段体を鍛えていない自分には十五分もすると、もう結構体に堪えてきた。そんな時に先頭を行く佐藤さんの口から洩れた「まだ登山道の入り口までたどり着いてない」という声が聞こえた。その言葉は自分の行く末の不安を十分に暗示させるものだったのだが、沢山の花々や木々の解説を聞きながら楽しく歩いている自分にも、また気がついていた。ふと後ろを振りむき遠くを眺めると、左から安達太良山、吾妻山の連なりに続き、その奥遠くに雪を頂いた飯豊連峰、そして右端にチョット蔵王の山が顔を出す大パノラマが、まっ青な朝の空にくっきりと浮かび上がっているのが見えた。思わず深呼吸を二つほどしてまた歩きはじめる。やがて45分も過ぎると、さすが皆の口数も少なくなってきた。そしてこのきついのは自分だけじゃないと思いつつ、もうダメだと追い込まれてくる丁度その頃を、見計らったかのように、先に行った人たちの大きな歓声が聞こえるのである。

その歓声に促されるように、重い足取りを運びながら皆に追いつくと、そこには素晴らしいお花畑が広がっていました。最初はカタクリの群落が斜面一面ばかりでなく、登山道の上にも咲き誇っている。成程これは、感動の声が上がるのも無理はない。アリに運ばれた種子が発芽し、それから6年以上もかかつて、今の花を咲かせているそうだ。そんなことを知れば道に咲いたカタクリの花をむやみに踏みつけることはできない。疲れを忘れて踏まないようによけながら、注意をして歩いた。

そして2度目の歓声。今度はスハマ草(雪割草の一種)だ。その群生地は登山道からからはずれた奥まった所にあり、そこを知る人の案内がなければ見られない秘密の花園で、スハマ草の小さな白い花が、一面に静かに咲きそろっていて、大いに得した気持ちになり感動した。そしていよいよ大感激のクライマックス、ハイライトは昼食タイム。松井さんをはじめとして、皆さんからの差し入れのお弁当。ホットドックのパンを始まりに、ピラフ、煮物、漬物等々、最後にケーキや果物のデザートまで次々と現れ、和食洋食のフルコースのご馳走を頂き、とうとう持参のおにぎりは手つかず持ち帰り、夕食のメインディッシュとなりました。

という訳で帰り道はルンルン気分で朝閉じていた花を、大きく開かせたカタクリの花たちに別れの挨拶をして、楽しい山登りを終えました。

楽しい春の一日をありがとうございました。

ウスバサイシン

ヒナスミレ

 アズマイチゲ

カタクリとエンレイソウ

 

 

 イタヤカエデの大木

 生まれ変わりました

 すっきりした林床を辿って

チョウジザクラ

 

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