昨年9月に入会してから、初めての参加でした。平成16年度から全国森林インストラクター会の会員になって以来全国の森を対象に森林歩きをしてきましたが、本県の森については不案内のため、いろいろと模索した結果ブナの森に焦点を当てることにしました。
昨年は奥只見のブナを観察し、只見町ブナセンター友の会の会員になり奥只見行きを心がけています。
高山については、幕滝周辺を主体に散策していましたが、今回(2014.4.29)20名の会員の皆様と高山の裾野である奥土湯のブナ林を見ることができたことは大きな喜びでした。
1週間前から天気予報に注意してきましたが、29日はあまり良い状況ではないと判断をし、それなりの心構えで集合場所に来ました。しかし、気圧を見ると市内で1,024hPa、荒井で1,020hPaとかなり高いことと、土湯温泉に向かう途中の山で気流が上昇していることから、天候はかなり良くなるのではと思いましたが、全くその通りで、最高の天候に恵まれました。6台の車に分乗し、女性14人、男性6人が8:25に男沼林道不動湯分岐付近の広場に到着し、大ブナの林を目指して出発です。
コースは栂森(918m)と台ガ森(1,006m)の南斜面標高650〜850mの林道と送水管路で、南に鬼面山(1482m)と箕輪山(1718m)を西に幕滝付近の森林(標高1350m)を見ながら片道約3kmを行きは3時間、帰りは2時間、昼食を含む休憩時間1時間半というゆったりとした行程です。
初めに驚いたことは、行程の半分以上にカタクリの群生地が見られたことで、その面積は、10haを優に超えており、樹高10〜15mのミズナラを主体とした落葉広葉樹の明るい樹林帯で、いたる所にオオヤマザクラのピンクの花が咲き、まさに自然の森林庭園です。途中に炭焼窯の跡が数個散見され、かってこの付近の樹木が炭に焼かれ、この地帯が二次林であることを示しているが、樹齢や窯跡の古さなどから40〜50年間は放置されていると思われるものの林床植生が人の手が入った里山であるかのようにあるのはなぜか。
おそらくは、ササが入りにくい状況の中で雪と寒さが人の手の役をしているのだろうか。
そして3時間半後の12:00pmに目的の高山最大の、いや最大であった大ブナの元に到着した。9日前に下見調査に来た佐藤代表たちによってこのブナが昨年から今年にかけて死滅したことを確認していた。今朝集合したときにそのことを知らされ、現場に着いて我々はその臨終に立ち会ったかのようでした。
直径約1.5m、高さ約2.5m、中心部に直径約70cmの空洞が形成されたブナの巨木が、残っていた大枝(昨年の結実の殻を沢山付けていた)を北方向に倒し、枯死していた。周囲には数年かけて大枝が四方に倒れており、2007年11月25日に撮影された姿では4本の大枝が存在していた(一部は枯れていた様である)。かって、白神山地で樹齢400年に近いと言うブナの巨木(マザーツリー)を見たが、それに匹敵するものでした。青森に比べ南方なので300年は超えているかと思われた。
ブナの樹齢は300〜400年といわれる中で、この様なブナを見ることができる日本は、素晴らしいと思います。そしてここ高山のこのブナの周囲には100年を超えるブナが無数にあることも驚きです。
一方、行程の途中に針葉樹の植林地が3か所あり樹齢15〜25年の杉あるいは檜の単一林で枝打ちも間伐も十分でなくかなり荒れており、落葉広葉樹林の美しさとは比較にならず、深い憂慮の念を持ちました。やはり日本の森は、東北大大学院教授清和研二先生が自鏡山(312m)ー岩手と宮城の県境にあり一関ICより国道457で約30km西方−を引合いにだし述べている多種共存の森が、理想なのかもしれない。
それにしても福島県の県都福島市からわずか20kmほどの距離で、この様な天然の森林庭園を持つ我々は、なんと幸福な県民・市民なのでしょうか。
また、高山の原生林を守る会の一員として今後活動出来ることを喜びとしたいです。
蛇足ですが、枯死した大ブナの表面の一部分を持ち帰りスクリーニング法で放射線量を測定した結果59Bq/kgの値となりました(CsI-TI-シンチレーション検出器)。
荒井方面は、線量が低いとされているが、平地に比べ森林はかなり汚染されているようです。 従って、山中の動植物もまた汚染されているので山菜等の採取には十分注意が必要です。(2014.4.30記)
|