128回 斜平山自然林観察会13.5.12()

 

 

タムシバ

アオイスミレ

キバナノアマナ

デブリ上のカタクリ

雪崩のデブリ

ヒメニラ

昼食

キクザキイチゲ

今年も楽しんだ斜平山観察会  山内幹夫

 3年続けて米沢市斜平山観察会は天気に恵まれました。これはネイチャーフロント米沢さんと高山の原生林を守る会の皆さんの強運が合わさった効果かなと思っています。僕も3年続けて観察会に参加しています。一昨年の5月に初めて斜平山に登ったときの印象は最高でした。空気が綺麗で新緑も眩しく自然が豊かで、それ以来米沢方面の自然に魅せられました。
 斜平山の印象は雪崩地形の山肌とオクチョウジザクラ、ユキツバキ、キバナイカリソウ、そしてカタクリやキクザキイチゲ、アヅマイチゲ、キバナノアマナ、オトメエンゴサクなどの群落です。一昨年は七曲りの坂を登っての稜線歩き、昨年は愛宕神社に登っての稜線歩きでしたが、今年は中腹のスプリングエフェメラルズを心ゆくまで堪能できました。いずれもGW明けの日曜日に観察会が企画され、雪融け直後の花が咲き乱れるベストタイミングでした。
 今年の観察会は大森山森林公園に高山の会とNF米沢併せて20名が集まりました。ミーティングの後に出発しましたが、すぐにヒメヤシャブシの花を見つけて観察が始まり、登り道沿いでも頻繁に立ち止まってオクチョウジザクラやユキツバキなどの観察を始めるものだから、目的地に着く頃には夜になってしまうのではないかと心配になりました。それでも何とか斜平山中腹に辿り着きました。中腹は雪崩によって形成された斜面の麓で雪融け直後は草丈も低く広々とした感じとなっています。日差しが強く汗ばむ陽気だったので木陰で休憩したら、あたり一面がお花畑のように咲き乱れています。ピンク色のアオイスミレも咲いていて、一同驚きの声を上げました。ピンクのアオイスミレは初めての出会いなのです。中腹に咲き乱れる花々のなかでオトメエンゴサクはとりわけ印象的でした。昨年まではエゾエンゴサクと呼んでいたこの花、最近はオトメ……と呼ぶようになったそうですが、何となくオトメのほうがロマンチックでいいですね。花に顔を近づけると素敵な甘い香りが感じられ、まさに清純な乙女を想わせる延胡索だなぁ〜というイメージでした。佐藤守さんに教えられてシロバナオトメエンゴサクをも見ることが出来たのはまさに幸運でした。
 今年の斜平山は雪崩の脅威も僕たちに教えてくれました。雪崩が山の斜面を削って出来たトレンチや、雪崩に押し出された土混ざりの雪、そしてなぎ倒されたばかりの杉の木立、これらは雪崩のパワーをいやおうなく見せ付けてくれます。現地に立つと、本当に恐ろしさを感じますよ。雪崩に削られて押し出された土から伸びたカタクリの花が咲いているのには驚きました。野生植物の力強さですね。毎年繰り返す雪崩を経ながらも春になると花が咲き乱れる自然の力強さをここに感じます。もうひとつ驚いたこと、それは中腹の緩斜面一面に広がったヤマトリカブトの大群落でした。これはものすごいです。福島の吾妻連峰山麓ではオクトリカブトばかりですが、斜平山ではヤマトリカブト。この分布の違いは興味が深まります。もちろんヤマトリカブトも全草猛毒。しかし秋に一面青い花が咲き乱れる光景を思うと、今年の秋にもう一度ここに足を運んで咲き乱れるトリカブトの花を眺めたくなりました。
 高山の原生林を守る会の今年の観察会は、4月の小鳥の森そして5月の斜平山と、スプリングエフェメラルズとの出会いに恵まれました。4月の小鳥の森では花が終わりかけていたカタクリも斜平山では今が盛りと満開でした。幸運にも春を2度楽しめたことになります。参加者の皆さんは随所で様々な花との出会いを満喫されていました。僕は斜平山中腹トレッキングコース脇をヒメニラの花を求めて歩きました。皆さんそれぞれデジカメに想い出を記録されています。僕もこのような素敵なフィールドに来ると撮影カット数が膨大になってしまいます。つくづくデジカメのありがたさを感じました。
 それにしても楽しい一日を皆さんと共に過ごすことができました。観察会の終わりごろにNF米沢代表の方が「斜平山は米沢の宝です」とおっしゃっておられましたが、まさにその通りだと思いました。

カスミザクラ

キバナイカリソウ

エンレイソウ

晴天に恵まれて

   
 ミズバショウ  ナガハシスミレ  シロバナオトメエンゴサク  ユキツバキ

 

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