104回観察会・西吾妻誘導ロープ補修ボランテア2009.6.21()

6月21日(日)に西吾妻ロープ補修ボランテアを実施しました。今回は米沢ネーチャーフロント(NF)との共同開催です。米沢NFは湿原の荒廃が進行する東大巓周辺や不適切な登山道整備により破壊された馬場谷地湿原周辺の植生回復事業に継続的に取り組むなど積極的な自然保護活動を展開しています。高山の原生林を守る会では西吾妻山域の登山道保全作業に10年来継続して取り組んでいますが、対象範囲が広大であるため、当会から共同開催を申し入れたところ、置賜森林管理署で当該山域の登山道保全事業を実施予定であったことから、今回は、置賜森林管理署(米沢森林事務所)の首席森林官と流域管理調整官も参加しての協同作業となりました。
 参加者は共同作業の対象となったAコース(西吾妻小屋周辺)が高山の原生林を守る会から5名、米沢NF8名、置賜森林管理署2名でした。また、Bコース(西大巓水場周辺)は高山の原生林を守る会の3名で作業を行いました。Aコースはかもしか展望台から大凹間の湿原の補修作業を全員で行い、作業の手順を確認しました。西吾妻小屋で2班に分かれて若女平分岐周辺と西吾妻小屋から西大巓方面の湿原の誘導ロープ設置作業を行いました。当初予定した若女平コース下山口湿原は泥炭層がむき出しでコース設定が困難なことから、改めて対応策を検討することとなりました。作業手順の確認を予めしていたことが功を奏して2日前に荷揚げした資材を全て使い切り、これまでになく広範囲に湿原への立ち入りを防止する誘導ロープを設置することができました。今回の取り組みが西大巓周辺の湿原保全に向けた新たな契機となることを願いながら帰路につきました。

かもしか展望台では雨が上がった

大凹手前の湿原で作業

ロープ設置終了

天狗岩-若布平ら若女平間の湿原

泥炭露出した若女平分岐

西吾妻小屋-水場間の湿原1

西吾妻小屋-水場間の湿原2

〜高山の原生林を守る会との『ロープ張り共同作業』に参加して〜
                                                           ネイチャーフロント米沢 酒 井 脩 一

6月21日 8時30分、湯元ロープウェー駅集合。 昨夜から降り続いている雨が、やや小降りになる。とは云っても、実施が危ぶまれる今日の天候。そんな中、ネイチャーフロント米沢代表・青柳より、『天候は回復の予報。実施します。』旨の指示が出される。カッパを着用し、8時20分のロープウェーに乗車。 天元台到着後、参加者人数の再確認。置賜森林管理署の岩間・奈良両氏の紹介、作業手順等の簡単な説明がなされた。米沢からの参加者は8名。「ロープ張り作業」は、全員が初めてで、説明に傾聴。その後、アキレス腱を伸ばす準備体操をして、リフト乗り場に向かう。9時35分、第3リフト終点(1820M)到着。風力ゼロ。雲量8〜9。雨は、いつしか止んでしまった。雲間からは、薄青い空が覗き、これからの天候回復が約束される。又、西北西から飯豊本山、大朝日岳のY字雪渓、月山の雄姿が雲海の上に望まれる。美しい。雨に濡れたコメツガ、オオシラビソの緑とのコントラストが、今日は特に美しい。  かもしか展望台より少し下山し、人形石と梵天岩の分岐点の所で、今日の作業の練習を兼ねて、『古くなったロープの回収。曲がった鉄支柱の矯正(厳冬と闘い、雪に押し曲げられた支柱は硬く、打ちつけるハンマーを跳ね返した。"石を落とすのが、一番ですよ"と、経験者の佐藤さんの助言)。支柱の刺し直し。新しいロープ張り。』等の作業を行う。 時々、山案内人を先頭にして10数名のパーティや数名の登山者が、私達の作業を見ながら「ご苦労さま。」と声を掛けて、木道を渡って行く。嬉しい励ましだ。
 12時05分、西吾妻小屋到着。風力ゼロ。雲量の観測を忘れる。雨の心配は無し。昼食は、小屋の中で食べるメンバーもいたが、私達は木道に腰を下ろして食べる。12時45分から2時まで、二班に分かれての作業。今回の登山の主目的であるロープ張り作業が行われた。 私は、若女平への下山分岐点付近から天狗岩へ向けての作業に参加。作業内容は、前述した練習内容と略同様。ここでのメンバーは、福島より1名、米沢4名、森林管理署2名の総勢7名。夫れ夫れてきぱきと作業に精を出す。皆楽しそうに精を出している。張ったロープの長さは、150M程。木道の両側に、黄色と黒のロープを縒り併せたトラロープを張る。 そして作業が完了したのが1時50分。緑の湿原の中、真新しく張られたロープが輝いて歌っている。張り終えた私達同様に、ロープも満足気だ。 2時には、別班も作業を終えて合流。『うまく張ったね。』、『福島だけでは3分の1ぐらいしか、今日は出来なかったよ。』、『これで湿原に入らないと良いね。』、『泥炭層が、流れないと良いね。』等の声が聞かれる。 2時10分吾妻神社の前で、全員が笑顔を並べて集合写真撮影。やがてガス上がって来る。遠くで雷鳴の音。早めに下山を開始する。
 4時25分、湯元ロープウエィ駅で解散式を行う。福島・佐藤、米沢・青柳両氏から、『今日は、天候が心配でしたが、実施して良かった!福島と米沢が一緒にやれて良かった!単独でやるより、成果も倍増になった!出来れば、今後も共にやりたい!』等の総括がなされた。 美しい吾妻の自然。宝庫と云われる池塘群とお花畑を有する吾妻の大自然。その揺り籠となる湿原が、いつまでも残されるよう願いながら、両氏の総括に賛同したのでした。

作業後の状況 作業後の状況 作業後の状況 作業後の状況
作業後の状況 作業後の状況 作業後の状況

作業後の状況

 

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