102回観察会・雨乞山自然林観察会2009.2.8()

 

雨乞山自然林観察会

2月8日(日)に雨乞山自然林観察会を実施しました。地元会員も含め21名の参加者でした。今回は伊達市により自然公園として整備されたコースの雷神登山口から雨乞山に登り水返登山口に至る周回コースを辿りました。
登山口から早速、急登となりますが、参拝道でもあるので道幅は広く拓かれています。周辺はクリ-コナラ林ですが、中腹で乾燥した葉を着けたままの潅木に出会いました。ヤマコウバシです。「高山の原生林を守る会」の観察会では初めての樹木です。周辺ではコバノトネリコも多く見られました。斜面を登りきると山名の由来となる雷神社と大山祇神社が祀られていました。奥田さんが若かりし時に登った時は注連飾りが施されていたそうですが、今回は静かなたたずまいを漂わせるだけでした。尾根伝いに拓かれた登山道周辺ではミヤマガマズミ、オケラ、ナガバノコウヤボウキ、ウリカエデなどこれまでの観察会ではあまり見られない植物が確認されました。
間もなく頂上に到着し霊山や御幸山などの周辺の山々の展望を楽しんだ後、水返登山口への山道を下りました。こちらは所々に安山岩と見られる岩が露出しケヤキなども時々姿を見せます。途中では珍しいサンショウやイヌザンショウの大木などが現れ、クヌギやカヤなど地域性を反映した樹木も観察できました。また、下山口近くではウワミズザクラの独立樹が存在感を主張していました。登山道からあぜ道に出るとイノシシ狩りのわなが設置され、廃園化した果樹園の光景とあいまって人の営みと野生動物との複雑な1面を垣間見ることができました。

急登

ヤマコウバシ

観察風景

オオバクロモジの花芽と葉芽

雷神社と大山祇神社

アカマツの広場

オケラ

ナガバノコウヤボウキ

102回雨乞山観察会報告      権藤 齊嗣

口は災いの元である。

2007年2月4日の第88回観察会・仁田沼雪上観察会以来の2年振りの参加だったが旧知の方々は暖かく迎えてくれた。最近、昔の事は良く憶えているが、今の今の事をちょいちょい忘れて何しにここに来たんだっけ?ばかりである。2年前とは昔の事である。鎌田さんに、仁田沼でアオダモの冬芽の色は鳩羽鼠色と教わった。これを憶えてて、口にした為、観察記を書く破目になってしまった。『鳩羽色とは、やや鼠がかった藤系の色を指します。色名は、神社等で見かける瓦鳩の羽毛の色からきています。紫実が強いものを鳩羽紫、鼠色が強いものを鳩羽鼠と呼びます。明治から大正にかけて、藤色と共に和服の地色としてよく用いられ、流行した色で、一般に鳩羽色は、この鳩羽紫を指します。』(日本の伝統色・灰色・黒編による)

 話は、こうである。守さんが珍しい木を見つけ皆に問いかけようとした矢先、鎌田さんが『ヤマコウバシ』と口バシッテ(失礼)しまった。その木は根元から4本に分かれていたが、冬芽の様子が違い木肌もなにやら違うようだ。こちらはアオダモじゃない?と誰かが言った。そこで同定談義が始まった。小生記憶の箱から、アオダモ⇒バット⇒仁田沼⇒冬芽⇒鳩場鼠色と辿った。冬芽はその色をしてないので目出度く4本ともヤマコウバシとなった。その後この山はヤマコウバシの宝庫である事が分かった。

やまこうばし (山香ばし) Lindera glauca落葉低木 【くすのき科くろもじ属】 分布 本、四、九州4月ごろ新芽が伸びるまで、枯れ葉を枝につけている4〜5月に緑色の小花を咲かせる花は個性がないが枯れ葉が個性を主張しているアウトサイダーな木だ。日当たりの良い山に生える。雄雌異株。実は7mm大の円形で秋に黒く熟す。葉は互生し長さ7cm程度の楕円形で先尖り、縁は鋸歯でなく全縁で波打つ。木肌は灰褐色で平滑。実の写真は10月の始めで春芽をもうつけている(私の花図鑑による)。

 このヤマコウバシはインパクトのある木だった。他には、クロモジ、クマノミズキ、サンショウ、タカノツメ、ミヤマガマズミ、ナガバノコウヤボウキ、ホウヨウがさんまの骨に似てるオケラ、ツリバナ、ウダイカンバの樹齢による木肌の変遷、ツノハシバミ、ネジキ、アズキナシ、アブラチャン(似てる木はダンコウバイ)、ブラシの様な花が咲く頃に来て確認しようとなった。暫定ウワミズザクラ等々。動物の落し物もあった。小鳥の森で昼食して散会した。

頂上へ 頂上 イヌザンショウの幹は滑らか サンショウの幹は皮目が隆起

ナガアシバチの巣? カシラダカ ツノハシバミ

遠景(山頂は奥)

 

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