奥羽山脈花回廊(12) 安達太良・県民の森

                                        七宮 勝広   

  県民の森は安達太良山の南西部にあり、郡山盆地を一望できる丘陵地である。その一角にグランドやキャンプ場のある森林公園として整備された。同じ公園内には、フォレストパークの開業により、近代的なキャンプ場や温泉を有する施設も追加された。  また近くにある安達太良温泉は、安達太良北側の硫黄系温泉の泉質と違い、アルカリ泉質と言う事も特徴的である。  公園内は、カラマツ、アカマツ、ヒノキ、ミズナラ等の樹木が目立ち、杉田川の遠藤ヶ滝方面にはブナの木も点在する。公園内にある森林館には、県民の森の説明や木の説明も詳しく表示されて、散策前に立ち寄れば大変参考になる。

県民の森に行くには、国道4号線からフォレストパークの看板に従って行けば良い。 森林館下の駐車場に車を置き階段を登ると森林館が見える。森林館右手の林を抜け林道に出ると、観察用に整理された樹木が並ぶ。木には名前の書かれた看板がつけてあるので、最初に良く確認しておくと参考になる。周辺にヤマユリ、ヒメジョオン、タカネ二ガナ、アザミ、ヤマツツジが植生する。

  緩やかな登りを進むと分岐に到着する。ここから冬のクロカンコース「松葉沢林道」コースを逆に進む。すぐにエゴノキの白い花がアーチとなって迎えてくれる。「ヒノキの森」コース分岐から別れカラマツ、アカマツの続く林道を進む。出発して30分ほどで赤不動分岐に到着する。  ここから急な階段状の下り坂を赤不動へと向かう。5分ほどで赤不動尊の境内に到着する。この不動尊は平安時代に文覚上人が開かれ、これから向かう遠藤ヶ滝の岩穴で修行したとされている。トイレもある為小休止にはちょうど良い。

  不動尊裏手から沢沿いに進む。コナラ、ケヤキ、アカマツの樹林帯で夏場は涼風の中で快適だ。遊歩道脇にはエゾアジサイ、ミヤマカラマツ、ヤマブキショウマ、ヤグルマソウが見られる。やがて鉄製の階段がを登ると遠藤ヶ滝である。岩穴周辺には祠が建ち、昔の修行跡を偲ばせる。  ここから岩の脇を登りながら、トラバース気味に沢沿いを進む。この辺からブナの木が見え、ウダイカンバ、ウリハダカエデ、ハウチワカエデ等の雑木林になり、最上部の橋、蛍橋を過ぎると急な登りとなる。この辺にはミヤマカラマツ、オシダ、タカネニガナ、アザミ、ヤグルマソウ、ヤマタイミンガサなどが見られる。  急な登りを終えると、戻るように樹林帯をトラバースしながら進み、やがて沢筋から離れると林道となる。ここからカラマツの林となり、ニガナ、ミヤマカラマツ、エゾアジサイが脇を彩る。5分ほどで、先ほどの赤不動分岐に到着する。 ここから再度「松葉沢林道」逆コースを進む。ヒメジョオン、フキ、タカネニガナを見ながら進むと林道が終わりカラマツ、アカマツの樹林帯の小道となる。100mほどでまた林道に出る。この付近がこのコース最高地点である。

  笹薮帯とアカマツの林を進み、急な下り坂を下ると広場の分岐となる。ここから「松葉沢林道」から「からまつの森」コースへと向かう。アカマツ、コナラ帯の小道を進むと途中から道は林道に変わり、前方に車止めが見えてくる。

  車止め手前から、道標通りに右に曲がると小道となる。周辺にはヤブレガサ、マルバタケブキ、オオバコが見られる。しばらくして炊事場の屋根が見えてくるとキャンプ場である。ここにはトイレ、展望台があるので一息するのに最適だ。またエゴノキの大木もあるので、開花時期には純白の花がびっしりと咲きそろう。ここからはキャンプ場の中を、森林館行への道標を頼りに行けば10分ほどで駐車場に到着する。

エゴノキ

ミヤマカラマツ

マルバダケブキ

ツクバネソウ

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