東北ブナ紀行(71 奥田 博

  今回はマイナーな山と有名な山の紹介です。八ッ楯山は月山の南にあり、尾根続きの最後の高みともいえそうな山。御所山は山形県での呼称で、一般的には船形山と呼ばれ、ブナ原生林と大伐採の山として有名。山形県のブナを紹介して来ましたが今回が最後で、次回から宮城県に移りたいと思います。

107)八ッ楯山 1009m

この山には登山道は無い。山頂から北に伸びる尾根をたどれば、月山山頂から本道寺へと下る登山道に合流する。そんな位置にあるので、月山の匂い漂う山でもある。
国道112号線の寒河江ダム脇駐車場から歩き出す。杉植林の管理道を登り始める。どこまでも道を追わずに、杉林の中を地図の平坦地を目指して方向を西に変える。西の尾根に上がろうとイヤなトラバースをやり過ごすと、狭いが若いブナ林の尾根に出る。登るに連れて広い尾根となって、下りが楽しみだ。広い815m点を見ながら、尾根に上がるとブナの疎林となり、東側の展望が広がる。ここからは広々感のある尾根を進む。ブナは西側の尾根に見える。広大な斜面には、疎らにダケカンバが広がっているので、伐採地だろうか?その間に伐採を免れた大ブナが点在している。広い斜面を抜けると、山頂が見えてきた。山頂からは月山と朝日連峰が意外に近くに見える。標高千bとは思えない雄大な景色だった
コースタイム:登山口(1時間40分)815尾根(50分)山頂(1時間15分)登山口

108)御所山(船形山)1500m

登山口は既に標高1000m、山頂は1500mだから標高差500mと思いきや、途中から標高を下げ、さらに往復12qを超えるので、意外に手強い。しかし山頂手前を除いて、道中はブナの森歩きに終始する。こんなに長いブナ街道を持つ山は、少ないだけにブナ好きにはお勧めのコース。
登山口から後白髪分岐までが第Tフェーズ。登山口からイキナリ立派なブナが現れて感動する。後半、栗畑と呼ばれる峠の前に現れる若い二次林のブナが、素晴らしい「未来の森」。第Uフェーズは、仙台カゴから最低鞍部・小屋跡までで、古い時代から変わっていなかったような、ブナの道が続く。第Vフェーズは、そこから標高1254m点までで、垂直分布が感じられるが、面白い形をしたブナが多い。その上は次第に矮小化して、山頂の草原地帯へと続く。
コースタイム:登山口(60分)仙台カゴ水場(50分)最低コル・小屋跡(2時間)山頂(3時間30分)登山口

 


山頂付近に散見されるブナは立派(八ツ楯山)

登山口から始まるブナの森の純度は高い(御所山)


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