東北ブナ紀行(69 奥田 博

  2019年の冬は極端に雪が少なく、山形の月山・朝日連峰周辺の山に出掛ける機会が増えた。ところが3月下旬から山には雪が積り出して4月はタップリと雪山を楽しむことができた。今回の二つの峰は、3月の雪の少ない時期に登ったが、寒河江川を挟んで対峙する藪山で積雪の季節しか登れない。両山共、中間部に見事なブナ林が広がっていた。

103)ヨウザ峰手前 825mピーク

ヨウザ峰という山名は、不思議な名前だ。カタカナ文字の山は全国に分布しているが、ヨウザ峰はここだけ。まずは北側の林道を進み、地図通り尾根に上がれる最短の谷に入ると、簡単に尾根に出られた。あとは尾根を進むだかだが、実際には尾根通しに歩くには急坂だったり雪が着いていないので、回り込んだりして、忠実に尾根に戻ることがポイント。急な人工林の森を越えると、やっとブナ帯に入った。急斜面をトラバースすると、正面に見事でユニークなブナが現れる。この先はブナの森を歩くが、細かなアップダウンが続くので、帰りが思いやられる。途中にスギやヒノキ林が現れ興をそがれる。その林を抜け小ピーク下ると再びブナ林。ブナの大木のある展望ピークに到着したところで昼食。行動もここまでとした。朝日連峰や月山・葉山などの展望と見事なブナを眺めながら至福の頂だった。(ここからヨウザ峰まではアップダウンの尾根を1時間位?)コースタイム:登山口(30分)尾根(2時間30分)山頂(2時間)登山口


104)大明寺山 865m

大明寺山はヨウザ峰の寒河江川を挟んで東向い側。今年は雪が少ないといわれるが、道路脇は2mほど積もっている。別荘と思われる小屋へ這い上がって、さらに急な斜面を登ればお決まりのスギやヒノキの植林地が広がる。切り頃を迎えた林だが、早く伐採してブナなどの萌芽更新(営林署のいう天然更新)を促進した方が、昔の森に変わるのだが。スギ林を抜けると尾根にはブナが現れる。急な斜面が落着いても、時折気の抜けない斜面が現れて苦労する。ギャップを越えると、太くて大きなブナの点在する広い尾根に出でた。帰りが楽しみな斜面だ。やがて山頂の一角に飛び出した。山頂は北峰と南峰に分かれているようだが、ここまでとする。クマ棚の写真を撮って、下りにかかった。下りは快楽の人と苦行の人に分かれてしまった。コースタイム:登山口(3時間)山頂(2時間)登山口



(左)ヨウザ峰手前のブナのピーク


(右)山頂の熊棚、熊の食事中を見たいものだ


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