巨大防潮堤は何を生むのか |
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今年1月から3月にかけて宮城県七峰山登山口から深山、鹿狼山を経て大沢峠までの実際の歩行距離は31km、累積標高差2188mを歩いた。そこで目にしたのは、車の通行できる峠は、すべて山が切り崩されていた現場だった。亘理・山元両町と角田市の境尾根の道が無くなり歩くことが出来なくなくなったり、道が迂回したりする場所もあった。北から大沢峠、小斎峠、高瀬峠、明通峠の東、鴻ノ巣峠、割山峠、箕輪峠、七峰東側の烏鳥屋山などは、土砂が運ばれ、粘土むき出しのすさまじい状況。その元凶は、海岸線に見えた白いライン巨大防潮堤でした。 |
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万里の長城のような防潮堤だが、完成したのはまだ14%ほど。「美しい海と暮らしが分断されてしまう」そんな思いから建設に反対する住民もいる。海岸を覆うコンクリートが海辺の生態系に与える影響も心配されている。被災地の暮らしを守るはずの巨大な壁。先の亘理地塁に沿うように海岸線には白い防潮堤が肉眼でも見ることができる。その高さは陸前高田や大船渡の15mに比べれば、亘理・山元・新地・相馬辺りの7m前後と低い。それでも山が無くなるほどの土砂が必要なのだ。「人の命を守る」という大義名分で「里山の自然」と「海岸線の自然」の破壊が進む。 |
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海岸線に並行して巨大な構造物を消波堤と呼び、その内側に防潮堤が築かれる(左) |
箕輪峠の土砂採掘現場(右) |