東北ブナ紀行(51 奥田 博

  秋田のあまり知られていない東光山と男鹿三山の真山・本山・毛無山縦走。美しいブナに出合えて満足。まだまだ東北のブナの山は尽きない。

83)東光山 595m

信仰の山として栄えた東光山。登山道の途中には、崩れた石仏や祠、立派なお堂などが残されており、信仰の深さがうかがえる。大きな農家の隣に木造りの倉庫を見て、車道を離れて田んぼに囲まれた道をたどる。その先に登山口が現れる。次第に森の中をたどるが、杉の植林か雑木林でブナは現れない。建物の残る毘沙門堂を過ぎると、岩崩地帯に風穴が現れて涼しい。やがて山頂へむかう尾根に出ると、立派なブナに囲まれた登山道となる。ミズナラの立派な大木も混じっているが、総じてブナが見事だ。山頂には立派な神社が祀られている。昔の信者は、きっと大きなブナにも霊を感じていたかも知れないが、ブナがご神体になった話しは、あまり聞いたことがない。山頂からの鳥海山が見事だった。

コースタイム:登山口(40分)毘沙門堂(20分)ブナの尾根(30分)山頂   


 
登山道の両側にミズナラと競うように
ブナ


東光山


男鹿三山

 

 

84)男鹿三山

男鹿三山の縦走路を歩くことは交通の便が悪くてなかなか困難だ。神社あり、自衛隊の基地があったりと賑やかであるが、海の近い場所にブナの森が広がっており、身近なブナである。登山口の真山神社に立ち寄ってから歩き出すが、神社の方に「お気を付けて」といわれて出発。男鹿三山縦走は、標高は700m前後だが、距離は8kmと比較的長い。標高が低い分、人の手が入っており、自然度が高いとはいい難い。真山への登りでは、霧雨が漂って、ブナ林が現れると幻想的な風景に変わる。

真山山頂を過ぎると、人の気配も少なくなり、ますます幻想的で暗い森歩きとなる。熊防止の鈴や笛や手拍子など賑やかに越える。本山への道は自衛隊道路が入っており、興醒め。山頂神社を諦めて、先を急ぐ。毛無山にも車道が走っているが、それを避けるように歩道が付けられている。見事なブナが点在している。ここより下りに差し掛かるが、下山口に近いところに五社堂と呼ばれる場所では、五つの社が連なるように建っており、これには驚かされる。ここから下山口まではいわば参道で両脇には標高50mほどに立派に育つブナだった。

コースタイム:真山神社登山口(1時間20分)真山(50分)本山(30分)毛無山下部(1時間10分)五社堂(10分)長楽寺登山口

 
霧雨に濡れるブナ


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