東北ブナ紀行(50 奥田 博

  東北ブナ紀行は今回で50回目を迎える。大震災以降は「線量計を携えた山旅」として9回を数えた。原発事故については、まだまだ言いたいことはあるが、ここで区切りを付けたいと思う。今回から本来のブナ紀行に戻します。ホームページ上では、9回の「線量計を携えた山旅」と「東北ブナ紀行」を分けて、ブナをシリーズで読めるようにしたいと思っています。

 さてブナ紀行は青森県・秋田県・岩手県そして山形県まで来て中断された。山形県から再開したいと思います。山形県には有名な葉山が2山あります。それぞれの町の名前を冠して、長井・葉山、村山・葉山と呼ばれています。

81)長井・葉山

長井市から登る葉山は、朝日連峰東端の山である。近年は、ここから大朝日岳まで縦走する登山者も少ないようで、道は藪に覆われる個所もあるという。葉山山頂までの道は、多くの登山者に踏まれている。

キャンプ場の奥の鳥居が建つ登山口から歩き始めるが、いきなり急坂が始まる。尾根に出れば、すぐにブナ林の中を歩く。ブナとしては、そんなに太くもなく、二次林にも見える個所がある位だ。アガリコのような人の手の入ったブナが散見されるので、利用されていたのだろう。この辺がブナのいいところ。登りが落ち着くと、山頂神社は近いが、ブナの森はなくなってしまう。
 コースタイム:
登山口(30分)尾根ブナ帯(2時間10分)山頂尾根(30分)葉山神社山頂   

 


アガリコのようなブナ

長井・葉山

82)村山・葉山

村山の葉山は、西側の十部一峠から登るのが、最も短くブナの純度も高い。このコースは次号で項を改めて紹介したい。しかし村山側のコースも、ブナの出来という点では峠コースといい勝負だが、山頂までのコースが長いことで、健脚向きといえる。登山口から急坂を登り尾根に上がると、見事なブナが現れる。尾根をたどりながら太いブナ、大らかに伸びる枝、形の面白いブナや太陽光に輝く葉などをファインダー越しに覗くと心落ち着てくる。途中の清水では、太いブナの下で、しばし休みをとり、ブナの周囲を流れる風を感じる。なんと至福の時だろう。暑い日は、木陰が涼しくて、いつまでも休んでいたいくらいだ。山頂から北東に延びる尾根(古御室山)に出れば、一転して展望とお花畑となる。
コースタイム:キャンプ場登山口(20分)聖観音(20分)朝日展望台(45分)キャンプ場登山口

 
オアシスとなるブナの木陰

 

村山・葉山


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