東北ブナ紀行(48 奥田 博

 「大震災が教えてくれたもの Z線量計を携えた山旅

震災の2011年6月18日、萬歳楽山に佐藤守さん等と登って以来、線量計を携えて山に登るようになった。学習院大学村松教授から信頼のおける線量計の貸出を受けたことが大きい。村松教授は福島県のために放射線調査や原因追究、その対策などを提言して献身的な協力を早い段階から実施している。佐藤守さんも、業務として福島県の果樹における放射能影響調査を実践、そこで村松教授との接点が出てきたことが大きい。今や、放射能なしには語れない福島だが、それを体系的に話せる人間は少ない。佐藤守さんは、専門の果樹をベースに、実戦的な経験を基に理論的に組み立てて、今や放射能を語れる貴重な福島県の人材である。彼が代表を務める、高山の原生林を守る会も、そんな巡り合わせで、放射能汚染を自然保護の一環としてとらえて、活動が可能になったのだと思う。

さて昨年6月から今年年末まで、線量計を携えて登った山はこの12月で100山を超えた。2011年30山、2012年70山といった具合である。印象としては、福島県以外の山は安全であるということ。福島県でも会津は、ほぼ安全な領域であること。線量値が高い低い、あるいは安全か危険かという判断は、絶対数字ではなく個人の感覚に負うところが大きい。0.5μSv/hという数値が、危険という方もおれば、何でもないという方もいる。0.25μSv/h程度であれば、誰でも許容するのではないだろうか。

図1は福島県内の山頂での放射線量値(1m)に留めてあるが、その山の最大値は、山頂であることは少ない。詳しい内容は別表(Webのみ)に掲げるが、一応の目安にはなると思う。1年10ヶ月で100山であるが、今後も継続していきたいと思う。(福島近県の山頂での放射線量値は次号に掲載します)

 

 


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