東北ブナ紀行(38 奥田 博

  岩手県沢内村で開かれたカタクリの会20周年記念観察会に参加して、帰り足に鳥海山を滑ろうと企んだが、鳥海山は雪と強風で断念。すぐに近くの低山に出かけたのは八塩山だった。春の花と芽吹き前のブナを堪能できた。

74)八塩山

八塩ダムには黄桜の幟がヒラヒラ風にハタメイテイルが、桜にはまだ早そう。林道奥の登山口から歩き始めるが、スギ林を抜けると、目の前にはブナ林の急斜面が見えてくる。太陽の下ではカタクリやキクザキイチゲが咲いていて、カメラに忙しくなる。急な斜面を登り尾根に出ると、イワウチワの大群がお出迎えで、またまたユッタリペース。尾根の直登で高度はグングン上がる。次第に残雪が現われ、その辺からスッキリとしたブナの大木が現われる。尾根の斜面が緩むと、ブナ林は穏やかに広がる。山頂は雪に覆われていたが、東端の八塩神社まで行って大休止とした。村が水不足になると、この八塩神社に参拝し、霊峰鳥海山に向かって雨乞いしたとの言い伝えも残るという。

下りは東側に向かって急な登山道を下降するが、雪で道を見失うが、スギ林に入って東に向かうと周回の林道に飛び出した。あとは元の登山口へと戻った。

コースタイム:鳥居ノ沢登山口(50分)山頂(30分)東登山口(30分)鳥居ノ沢登山口


ブナを見上げる

75)金峰山

山頂に吉野の金峰山から勧請した金峯神社が建つ由緒ある山だ。藤沢周平が教諭時代を過ごした藤沢地区から歩き始める。立派な鳥居を潜り、スギ林の中をたどる。林道を越えると明るい雑木林となり林床には赤いユキツバキの花が現われた。やがて女人禁制の大きな標石を越えるとブナの森に入っていく。まるでこの先は聖地であるかのような変わりようだ。尾根に出ると、林床にユキツバキ、頭上にブナ新緑のトンネルに差し掛かった。この道は、母狩山を経て湯ノ沢岳までブナの縦走路が開かれた。10時間を要するというが、いつかは辿ってみたい。

山頂からは庄内平野を一望に収め、鳥海山、月山、羽黒山、高舘山などが見渡せた。ここでたっぷり休んで、東の青龍寺へ向かって下ったが、こちらもブナの道であった。

コースタイム:藤沢登山口(50分)山頂(40分)青龍寺登山口


新緑のブナトンネルの道


八塩山


金峰山


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