東北ブナ紀行(27 奥田 博

前号で50山のブナ紹介となるが、まだ青森・秋田・岩手県の北東北が終っていないと申し上げた。いよいよ東北南部へと移りたいが、まだ北東北に未練があるようです。今回も岩手県のブナ林を紹介します。

51)未来の森・湯川沼(岩手県)

未来の森とは誰が名づけたのだろうか。1996年の春にカタクリの会の案内で訪れている。二度目は冬に訪れたが、この冬のブナが印象的だった。カタクリの会のパンフレットに「時代(とき)が来て、未来の森に、ブナ繁る」とある。なかなかいい言葉だが、これは今は若いブナ林だが、このまま育てば未来は立派な森に育つという願いが込められている。この取り付きまでは長い林道歩きが必要だ。その林道の周辺は見事に、皆伐されて痛々しい。

林道を離れ登山道に入ると若いブナが多く見られるようになる。沢に沿って高度を上げていくが、サワグルミやトチノキ、カツラなど多様だ。ブナが散見されるようになるとミズナラ、イタヤカエデ、オオカメノキ、、ハウチワカエデ、オオバクロモジなどが見られた。そして湯川沼に着けば、沼の奥には太いブナがいくつか見られた。このブナが枯れて倒れるまでに、周囲のブナは育つだろう。今後、伐採されなければ、、、。

コースタイム:湯川温泉(1時間30分)登山口(45分)湯川沼(30分)登山口(1時間30分)野々宿 


雪に覆われたブナの木

52)焼石連峰・天竺山麓(岩手県)

焼石連峰にはブナ林が多く残っているが、その中ではマイナーな場所を紹介したい。このブナ林を訪れるには、尿前川の渡渉をしなければならない。しかも地図には登山道が記載されていないし、もちろんガイドブックにも紹介されていない。しかし登山道はしっかりと付けられているので、心配はない。中沼登山口に車を置いて、ここから旧い林道をたどる。1時間弱で尿前沢の渡渉となる。赤いペンキが目印だが、増水している場合には渡れない位に水量は多い。

この沢を渡れば、急坂が始まるが、またブナ林の始まりである。広い斜面にブナが広がるが、次第に尾根は狭くなる。狭い尾根になるとブナは、尾根の両側に広がる。ブナ林は1090bピークを回り込む尾根まで続く。どこまで登るかは本人の体力次第。この道をたどれば、天竺沢を越えて金明水避難小屋まで続き、焼石連峰縦走路まで登ることが可能だ。     

コースタイム:中沼登山道(1時間)尿前沢(1時間)ブナ林 


スッキリとしたブナ


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