東北ブナ紀行(64 奥田 博

  山形には標高の低い山にもブナ林が多く残っているように思う。「山形百名山」が設定されたが、その中にもブナの名山が数多くあるのは嬉しい。藤倉山は鶴岡市南部日本海を望む山、御堂山は尾花沢市の西側、御所山(船形山)を目の前に望む位置にある。

93)藤倉山 654m

藤倉山の登山口へは、日本海の三瀬町にあるJR羽越本線三瀬駅となる。車なら日本海東北自動車道三瀬IC下車。車で奥に入ると、車を誘導する案内板があって、迷いなく登山口の駐車場に到着する。今回は、鳥海山を滑る予定で来たが悪天候で、あっさりと海岸に近い山に変更したのが藤倉山だった。
 スギ林の中を歩きだす。急坂を登ると尾根に飛び出すが、自然林と人工林の混ざった状態。途中の小ピークに登ると、尾根の向こうに山頂が眺められたが遠く感じる。再び下り、登り返すことを繰り返すので、帰りを考えるとウンザリだ。
山頂が近付くとブナの新緑が美しく、足元にはイワウチワが咲き、ヤマザクラが咲き、何と青空に浮かぶ鳥海山が望まれた。さっきの雨は何だった?ブナの新緑を味わいながら楽しめた山だった。
コースタイム:登山口(45分)尾根(1時間30分)藤倉山(1時間30分)登山口


途中から眺める藤倉山はブナ林とヤマザクラに覆われる

94)御堂森 1057m

この山は、船形山の前衛峰でもないが、尾根を繋げてゆくと黒伏山へと繋がるから、前衛峰と言えなくもない。標高の割には、山頂までの距離があり、長い時間歩きを楽しめる山だ。
アクセスに不安があったが、細野集落を過ぎた林道入口に小さな看板が立って安心。荒れた林道を走って尾根に上がると、目立つ計画書投函箱のある駐車場で車を降りて歩き出す。標高は500m弱だから標高差は600m程度、高を括って歩き出す。ご多分にもれず、人工林と自然林の混じった歩き出し。
 地図で読める通り、アップダウンを繰り返しながら尾根通しで登る。途中、栗の木には熊の足跡や、食い散らかした実や枝が散乱していた。山頂が見える個所で初めて遠い距離を実感した。粒が揃っているが若く細いブナ林が現れるが、スギなどの人工林も交互に現れる。その中に母樹として残したのか、見事なブナが見られる。やがてブナコブ平と名付けられた個所に、それと分かるブナが登場。そこから上部はブナ大木が次々と現れ、原生林に入ったようだった。ブナの撮影が忙しくなる。ここから急な斜面をしばし歩くと、やっと頂上に到着した。船形山がキレイに船の形を見せていた。
コースタイム:登山口(1時間40分)ブナコブ平(1時間20分)山頂(2時間10分)登山口


ブナコブ平と呼ばれる名の起源のブナ


藤倉山


御堂森


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